『The Pictorial Key to the Tarot(PART1)』を解読しながら訳していく Vol.29
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はい、こんにちは。
前回、新たな4人の登場人物について、簡単にまとめたものをお伝えしたわけなのですが、思いの外ボリュームがあったようで、ちょっとお疲れ気味です。
ある人は仕事に、ある人は学業に、またある人は子育てに、そしてまたある人は翻訳に、、、と。
それぞれに頑張りたいこと、頑張っていること等あると思うのですが、時には自分に優しく、甘々に、ぼんやりする時間なんかをつくってあげてくださいね。
人って、つい自分のことになると疎かになりがちですよね。
私はまったくそんなことはないのですが(ないのかい!!笑)、この辺りで一丁前に〝夏休み〟らしきものを取りたいなと考えております。
これまで、特に決めていたわけではないのですが、なんとなく1週間のうちに、2~3回くらいの投稿を目安としてきました。
ただ、ここのところ、本当にバテているのか(ちなみに弘前は東京とほとんど変わらない暑さなのに湿度は東京を凌ぐことも珍しくありません、ぐったりです汗)、ゆっくりしてもゆっくりしていても、あまり疲れが抜けていかなくてですね、そんな時は「あぁ、これはもう天からの〝休め〟のサインかなぁ...」なんていうふうに思ってしまうのですよ。
どのみち、新しく始めたい事業の計画もあって、「どこかでまとまった休みを取らなきゃなぁ...」と、薄々考えてはいました。
ただ、こっちはこっちで「ようやくノッてきたところなのになぁ...」と、目を離すのが少し惜しい気もするのですが、そういう時って、その少しの距離が案外良い方に向かったりすることもありますよね。(個人談)
ということで、もしかしたら近々1週間ほどか2週間ほどか、まだはっきりと決めたわけではありませんが、恐らく8月中旬辺りに(あれ?お盆休みということだったのか?)、そんな休みを設けたいと考えておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
ちなみに今、青森県では、私の大好きなピザハットの限定メニューがあるそうで、しかもそれは、私の大好きな〝嶽きみ(と言う、こちらの名物のとうもろこし)〟を使ったピザなんですね。
絶対に食べたい!!
私は中学生の頃からピザハット一筋なのですが、県によって、限定のメニューがあるだなんて知らなかったので、それを休みの楽しみにして、引き続き頑張っていきたいと思っています。
さて、、、
前回の一文を振り返りたいと思いますが、前々回では、ウェイトの「タロットの起源はアルビジョワ派に通ずる!!」という仮説について触れました。
そして、その仮説(=提案)を前回では、ガブリエーレ・ロセッティやウジェーヌ・アロウ、さらにハロルド・ベイリー氏、クーパー=オークリー夫人ら、いわば長い歴史の中で〝似た視点〟を持った4人の思想家に向け、敬意を込め贈られた一文になっていました。
少し先読みになってしまいますが、今回の一文には、ようやくカードの名前が出てきます。
カード1枚1枚の解説には及びませんが、本文を打ち込んでいて「ようやくか、、、」と、ちょっとだけ嬉しくなりました。
では宜しければ、最後までお付き合いください。
もくじ
今回の一文:タロットと透かし模様──〝教皇〟のカードとアルビジョワ派の接点を巡って
今回の一文です。
Think only what the supposed testimony of watermarks on paper might gain from the Tarot card the Pope or Hierophant, in connexion with the notion of a secret Albigensian patriarch, of which Mr. Bayley has found in these same water-marks so much material to his purpose.
Arthur Edward Waite
『The Pictorial Key to the Tarot』より
こちらを3つに分けて見ていきたいと思います。
〝Think only what the supposed testimony of watermarks on paper might gain〟
〝from the Tarot card the Pope or Hierophant, in connexion with the notion of a secret Albigensian patriarch〟
〝of which Mr. Bayley has found in these same water-marks so much material to his purpose〟
本文をそのまま引用しています。赤字の部分は改行時に使用されるハイフン(-)で間違いではありません。ハイフンを除いたものが元の単語になります。
〝connexion〟は〝connection〟の古い綴り(主にイギリス英語)だそうで、現在では、ほとんど使われていないそうです。
では、よろしくお願いいたします。
ウェイトが献辞を贈ったベイリー氏──彼の「透かし模様」から何を見出したのか
まず〝Think only what the supposed testimony of watermarks on paper might gain〟から見ていきます。
いつも通り、単語や熟語の整理から行っていきましょう。
・supposed → 仮定された、想定された
・testimony → 証言、証拠、象徴的な意味
・watermarks → 透かし模様
・gain → 得る、増加、進む
※これらはほんの一例です。
最初は〝Think only〟ですが、こちらは一見「ただ考える」という意味に見えますが、「自分が考えた結果、こうだった。」というようなことではなく、「みんなも考えてみてね」というような意味です。
よしっ、まだ〝何〟についてなのかはわかりませんが、みなさんも一緒に考えてみましょう。
続いて、〝what the supposed testimony〟ですが、こちらは「仮定された証言が~すること/もの」というような意味ですが、小分けにして見ると、少しわかりづらいかも知れません。
最後に調整しますね。
そして〝of watermarks on paper〟とありまして、こちらが「紙に施された透かし模様が」というような意味になると思います。
そもそも、「基本的に、紙以外のものに施された〝透かし〟はあるだろうか、、、」というのが本音です。(画像とかに入れる〝ウォーターマーク〟は別物という認識です)
お札くらいにしか見られるものってないですよね?(そうでもないのかしら?)
そして最後に〝might gain〟とありまして、こちらは「得る可能性があるかも知れない」という意味かと思います。
まだ、全体の内容がいまいち把握できていませんが、一度まとめてみます。
〝Think only what the supposed testimony of watermarks on paper might gain〟
→ 紙に施された透かし模様による仮定された証言が得る可能性があることだけを考えてください。
はい、このような意味になるかと思います。
この部分だけで見ると、少しわかりづらいかも知れません。
「急にどうした?」という感じも否めませんが(もう〝毎度のこと〟のようにも感じられますが)、前回の記事もご覧になっていただいている方であれば、もしかしたら「ピン」と来るものがあるかも知れません。
まったく予期していなかったことですが、前回、4人の登場人物についてまとめておいて良かったですね。
自分のことを良く言うわけではないのですが、もし、前回の4人にまったく触れずいたならば、この〝透かし〟というフレーズは、あまりのも突拍子過ぎて、完全に「誰がわかるというの?」という領域だったのではないかと思ってしまいます。
ちょっと大変そうですが、私も今一度、ベイリー氏(前回はハロルドと呼んでいました)の資料を読み直してきます。
宜しければぜひ、みなさんも今一度『A New Light on the Renaissance』をご覧ください▶▶こちら
英語ですが、有難いことに無料で読めます。
しかし、ページをめくる機能を使うには無料アカウントの作成が必要になる作品もあります。
その場合は検索欄に〝watermarks〟などと入れて該当箇所を表示させるのが良いと思います。
昨今、私は不要なアカウントは持たないようにしています。
もし、同じような懸念をお持ちの方は、検索機能からの閲覧がおすすめです。
では、次に進みましょう。
タロットの〝教皇〟とアルビジョワ派――本当に繋がりはあるのか?
では、次の〝from the Tarot card the Pope or Hierophant, in connexion with the notion of a secret Albigensian patriarch〟を見ていきたいと思います。
また、単語や熟語の整理から行っていきましょう。
・Pope → 教皇(主にローマ教皇を指す)
・Hierophant → 教皇(思想や精神的な伝道師に近い)
・in connexion with → ~と関連/関係して
・notion → 概念、思想、考え方
・patriarch → 家父長、指導者、長老
※これらはほんの一例です。
いきなり「え?どっちも〝教皇〟なの?」と思われている方がいらっしゃるかも知れませんが、そうなんです。
どちらも〝教皇〟という意味なんです。
しかし、恐らくこの一文で言う〝Pope〟はマルセイユタロットの〝教皇〟のことで、〝Hierophant〟はご存知、ウェイト=スミスタロットの〝教皇〟のことだと思います。

〝LE PAPE〟は、英語で〝The Pope〟になります。
多分、そのような認識で差し支えないかと。。。
ですが私的には、あくまで日本語としての表現が〝同じ〟なだけであると思っていて、実際の意味にはかなりの違いがあると思います。
というか、違います!!
何故かはわかりませんが、私はこういう違いを知ることが「けっこう面白いなぁ♪」と思うタイプで、実は、私が歴史を好きになったのも、この〝教皇(Hierophant)〟のカードがきっかけだったりします。
また、自身のリーディングを深めたい方(そういう方はあまりここにはいらっしゃらないかも知れませんが、、、)がいらっしゃいましたら、この違いを知ることは、間違いなくリーディングを深めるための助けとなると思います。
詳細につきましては、また後ほど『まとめ』の方で解説いたしますので、ぜひみなさんにも知っていただけたら嬉しいです。
では、順番に少しずつ見ていきましょう。
まず〝from the Tarot card the Pope or Hierophant〟ですが、こちらは「タロットカードの〝教皇(Pope)〟あるいは〝教皇(Hierophant)〟から」という意味ですね。
少しややこしく感じられるかも知れませんが、たどたどしくても、あくまで基本を大事に、愚直な直訳で進めていきたいと思います。
次に〝in connexion with〟とありまして、こちらが「~と関連して」という意味です。
〝繋がり〟というようなニュアンスがあると思います。
そして最後の〝the notion of a secret Albigensian patriarch〟ですが、こちらは「隠されたアルビジョワ派の指導者の思想(または概念)」というような意味になると思います。
なんとなく〝パトリ○○〟と付く言葉を聞くと、キリスト教の何かっぽい感じがします。
また、キリスト教における最高職に就く人たちは、基本全て男性のはずです。(なんとなくお伝えしておこうと思いました)
では、一度まとめてみましょう。
〝from the Tarot card the Pope or Hierophant, in connexion with the notion of a secret Albigensian patriarch〟
→ タロットカードの〝教皇(Pope)〟あるいは〝教皇(Hierophant)〟から、隠されたアルビジョワ派の指導者の思想(または概念)と関連して
という感じでしょうか。
少しぎこちない部分があるかも知れませんが、なるべく文の構造に忠実に訳しているつもりです、よろしくお願いいたします。
いまいちまだ、前文の〝透かし〟と、ここの〝教皇〟たちが、どう繋がってくるのかわかりませんね。
ウェイトから「考えてみてね」と伝えられたものの、現状、何を考えたら良いものなのか。。。
早く結論を知りたいです。
では、最後のパートへ進みましょう。
〝教皇〟とアルビジョワ派、それらの象徴に繋がりはあるのか ― 仮説としての問い
では、最後の〝of which Mr. Bayley has found in these same watermarks so much material to his purpose〟を見ていきましょう。
久しぶりに、わからない単語がありませんでしたので、このまま進めていきたいと思います。
まず〝of which〟ですが、こちらは「その中で」という意味です。
次に〝Mr. Bayley has found〟とありますが、こちらは「ベイリー氏は見つけ出した」という意味になると思います。
そして〝in these same watermarks〟とありまして、こちらは「これらと同じ透かしの中に」というような意味になります。
もしかすると、ここで〝in〟とあるので、1つ前の〝has found〟は「~の中から見出した」と言う方が、ちょっと格好良く聴こえるかも知れません。
そして最後に〝so much material to his purpose〟ですが、こちらは直訳しますと「彼の目的とする豊富な素材」と訳されそうですが、〝to〟が付くことによって、「彼の目的に資する(役立つ)」というニュアンスが含まれるそうです。
細かい点にはなりますが、正確には「彼の目的に資する(役立つ)豊富な素材」と訳す方が良いかも知れません。
つまり、私にとってのPCというイメージと同じかと思います。(違うか)
ここは割と、簡単にまとめられそうです。
では、まとめてみましょう。
〝of which Mr. Bayley has found in these same watermarks so much material to his purpose〟
→ その中において、ベイリー氏はこれらと同じ透かし模様の中から、彼の目的に資する豊富な素材を見出している。
という感じでしょうか。
この「その中(of which)」というのは、前文の〝the notion of a secret Albigensian patriarch〟=「隠されたアルビジョワ派の指導者の思想(または概念)」を指していると思います。
言わんとしていることは伝わらないこともない気がしますが、いまいち、この一文全体の意味がよくわかりません。(私だけかな、、、)
今回も大作業の予感が、、、ひぃぃぃっ。
では、『まとめ』に入りたいと思います。(まとめられるかしら、、、)
まとめ|結論・解説・考察
では、改めて今回の一文をご紹介します。
Think only what the supposed testimony of watermarks on paper might gain from the Tarot card the Pope or Hierophant, in connexion with the notion of a secret Albigensian patriarch, of which Mr. Bayley has found in these same water-marks so much material to his purpose.
Arthur Edward Waite
『The Pictorial Key to the Tarot』より
そして、今回のこれまでの訳です。
→ 紙に施された透かし模様による仮定された証言が得る可能性があることだけを考えてください。
→ タロットカードの〝教皇(Pope)〟あるいは〝教皇(Hierophant)〟から、隠されたアルビジョワ派の指導者の思想(または概念)と関連して
→ その中において、ベイリー氏はこれらと同じ透かし模様の中から、彼の目的に資する豊富な素材を見出している。
また、これまでの流れも把握できた方がわかりやすいと思うので、改めて前回の結論もお伝えしておきます。
私は――
ガブリエーレ・ロセッティ及び、ウジェーヌ・アロウの精神を受け継ぐ者たちに、
また、ルネサンスに別の新たな光をもたらしたハロルド・ベイリー氏に、
そして、暗闇の中、小さく光を放つ灯として、情熱的で探究心溢れるクーパー=オークリー夫人の精神に――
僅かながらにでも役に立つことを願って、深い敬意と共にこの提案を捧げます。
さて、、、
問題の訳ですが、このような感じでいかがでしょうか?
用紙に施された〝透かし〟が仮の証言だったとして、もしそれが、タロットの〝教皇(Pope)〟または〝教皇(Hierophant)〟のカードから何らかの示唆を得られる可能性があると想像してみてください――それは、アルビジョワ派の長が秘密裏にしていたある概念と繋がりを持つ可能性が含まれており、ベイリー氏は、その概念のうち、彼の研究に資するような同様の〝透かし〟をいくつも見出していたのです。
はい、いかがでしょうか。
なるべく「わかりやすくする」という意図で、原文には記載されていない表現も用いていますが、できるだけ、本文の内容を忠実に整えた訳だと自負しております。(当サイト比)
ちなみに、私にとっては力作であるこの訳を、AIに「100点満点中で言ったら何点くらい?」と聞きましたところ、「85~92点くらいが目安になりそうです。」と言われました。
頭に来ますね。
「なら、100点満点の訳を教えてもらえる?」と尋ねたところ、『用紙に施された〝透かし〟が仮の証言として機能すると仮定してみましょう。もしそれが、タロットの〝教皇(Pope)〟または〝教皇(Hierophant)〟のカードと結びつき、秘密裏に伝えられたアルビジョワ派の長の概念と関連づけられるとすれば――その概念に関して、ベイリー氏は、同様の透かしの中に、彼の研究に資する豊富な資料を見出しています。』と言っていましたが、「ほとんど私のと同じじゃん...」と思いました、ふんだっ!!(笑)
恐らく、この一文を「うんうん」とすんなり理解できる方は、そう多くないと思います。
もし、いらっしゃるとすれば──それは、きっと超が付くほどのオカルトマニアか、あるいは、ルネサンス期の生き残りか。。。
いずれにしても、今回の一文それ自体には、過剰な説明は必要ない気がしていますが、ここでの内容については、ぜひとも解説させていただきたく存じます。
よろしければ、ぜひ最後までお付き合いくださませ。。。
今回の一文についての意味の解説
では、今回の一文をご覧になって「えっ?どういう意味?」と思われている方が多いことを願って、解説を始めていきたいと思います。
それでなんですが、僭越ながら私、すごく良いことを思い付いてしまいました。
題して『子供にもわかるように説明する作戦!!』です。
ということで、敢えて、小さな子供に説明するかのような形で、この一文の内容を改めてお伝えしてみたいと思います。
ウェイトはこう言っているんだよ
- 模様が埋め込まれた紙(透かし)には、もしかすると、何かしらの〝秘密〟が隠されているかも知れないんだって!!
- そして、実はその〝秘密〟には、タロットカードの〝教皇〟というカードと関係があるかも知れなくて、そのカードを基に〝秘密〟の暗号が解けるかも知れないんだって!!
- それにもしかしたら、その〝秘密〟から、大昔の秘密のグループ(アルビジョワ派)の偉い人がしていた、内緒の話までわかるかも知れないんだって!!
- それでね、このことを「そんなことがあるかも知れないなぁ~」と考えついた、ベイリーさんという人がいてね、その透かしが埋め込まれた紙をたっくさん調べたんだって、模様とかについても1枚1枚、とにかくたっくさん研究をしていたの。
- そしたらね、「やっぱり〝透かし〟には意味がある!!」ってベイリーさんは言っていたんだって!!
- だから、そのくらい一生懸命に研究した人がそう言うわけだから、「もし良かったら、あなたもそのことについて一度考えてみてね」って、ウェイトはそんなふうなことを言っているんだ。
というわけで、物凄く噛み砕いた説明になりましたが、きっと、何かしら伝わったのではないかと思います。
いくつかの日本語訳を見付けて読んでみたり、各翻訳アプリを使って訳したりしてみたのですが、それぞれに訳が違っていて(それは当然なのですが)、主語もバラバラだったりで、本当に掴みづらい一文でした。
いずれにしても、難しい一文だったのかなと思いました。
私も意外だったのですが、ここでの主役=つまり主語というのは「〝透かし模様〟が秘密の暗号かも知れない」という部分だったのです。
私も「ようやくカードの名前が出てきた!」なんて思ってしまったので、無意識にカードの方に焦点を当てたくなっていたのかも知れませんね。
気取って一息でお伝えしようとすると、結局わかりづらくなる気がしたので、ちょっと格好悪いかも知れませんが、このような形を取りました。
今回、この一文を理解したい一心で、ぱらぱらとでも、ベイリー氏の『A New Light on the Renaissance』のページを全部めくりましたが、確かにかなり研究熱心な方なのだということが見て取れました。
今回の一文がより理解しやすくなるよう、ベイリー氏の研究から、手助けになりそうな部分を少しだけ要約してみました。
ベイリー氏による透かしに関する発言の一部
1.透かし模様は単なる技術ではない
ベイリー氏は、透かし模様を単なる紙の装飾や商標ではなく、思想的・宗教的な象徴として捉えていました。1282年以降に現れる透かし模様は、プロヴァンス地方の迫害された人々(ユダヤ人やアルビジョワ派を含む異端者と呼ばれていた人たち)の記憶や信仰を宿していると主張しています。
2.プロヴァンスと異端者の影響
中世の南フランス(特にプロヴァンス)は、ヨーロッパの他地域よりも進んだ文明を持ち、紙漉き技術の中心地でした。異端者や迫害された人々がこの地に集まり、透かし模様を通じて思想や信仰を紙に刻んだとベイリー氏は述べています。
3.透かし模様の広がりと共通性
透かし模様はヨーロッパ全土で共通の図像が使われており、ベイリー氏はこれをプロヴァンスから逃れた職人たちが技術と象徴を広めた証拠と見なしています。これは後のユグノーによる産業拡散と似た構造だと指摘しています。(キリスト教にも派閥があるそうで、ユグノーは16〜18世紀のフランスで、カルヴァン牧師を中心に広まったプロテスタント教徒のことだそうです)
4.印刷業者との思想的連携
ベイリー氏は、紙漉き職人と印刷業者が思想的に連携していた可能性を示唆しています。透かし模様と印刷記号が同じ暗号体系を共有していたとし、両者が共通の目的を持っていたと考えています。
5.象徴解釈の方法論
ベイリー氏は、透かし模様の解釈において、同時代の象徴学者(DurandusやValerianなど)の著作を参照し、空想ではなく歴史的根拠に基づいた解釈を試みています。透かし模様は、寓意・信仰・政治的抵抗の痕跡として読まれるべきだと主張しています。
というように、この短い要約からでも、ベイリー氏が〝透かし模様〟という、一見誰もが素通りしていまいそうなほんの小さなモチーフに、どれほどの深い意味を見出していたか、伝わるものがあると思います。
何かしら、参考になるものがあれば嬉しく思います。
現状、ベイリー氏からウェイトがどの程度の影響を受けたのかまではわかりませんが、恐らく、かなりの影響を受けていると思います。
実際、『A New Light on the Renaissance』を見てみますと、「あれ?これ何処かで見たような、、、」という絵(多分〝透かし模様〟を手書きしたものだと思うのですが)が、ちらほら見られました。
そして、このウェイトの仮説が何処まで本当なのか、それともまったく根も葉もないただの戯言なのか、そのことについてはわかりませんが、でも確かにウェイトの言う通り、そのような見方をしてみますと、それはそれで面白いのかも知れないなとも思いました。
正直なところ、この仮説が真実であるかどうかは、私にとってはまったく興味のないことなのですが、不思議なもので、私は、この『A New Light on the Renaissance』を読んでいる時に「あれ?ちょっと面白いかも?」と、不覚にもそう思ってしまいました。
真実はわかりません。
しかし、タロットの起源が本当にアルビジョワ派にあったかどうかはさておき、「ベイリー氏の研究に興味を持ったウェイトが、それを何かしらの形で自身のタロットに取り入れていた可能性はかなり高い」と、そのような仮説が、私の中にもふと浮かび上がってきました。
きっと、みなさんも「本当だ!!」と感じられるのではないかと思うので、ぜひ共有させてください。
恐らく作戦通り、先ほどの説明で今回の一文の意味については、粗方お伝えできたのではないかなと思っております。
では、ここからは少しだけ、『A New Light on the Renaissance』を読んだ際に、私が「ここはウェイトに影響を与えた部分なのでは?」と感じた箇所について、お話しさせてもらいたいと思います。
ベイリー氏の透かし研究とウェイト=スミスタロットの接点(当サイト視点)
『百聞は一見に如かず』という言葉がありますように、こちらは画像をお見せした方が早いと思います。
きっとそこから、様々にインスピレーションが湧いてくれるのではないかと思っております。
では、どうぞご覧ください。
まずは今回の一文でも取り上げられた〝教皇(Pope、Hierophantどちらも)〟のカードについてです。

『A New Light on the Renaissance』(1909年)
Internet Archiveより
それこそ、盗用防止のため、当サイトの〝透かし〟を入れていますが、それにより、マルセイユタロットの〝教皇〟が少し見にくくなっていること、ご容赦ください。
ご活用いただくこと自体は、むしろ私にとっても大変喜ばしいことですが、世の中には、まるで「自分が作った」かのように平然と語る人が後を絶ちません。
それは、非常に残念なことですが、これは、そういう人間の形をした何者かへの苦肉の策なんですね。
また、こうしたタロットを、金儲けのために偽造し続けられている現状が存在します。
本来なら、こうした策を講じることすら必要ないはずのですが。。。(それでも100%は防げないのが心苦しいのですが、、、)
もしかすると、このような行動に至るには、何かしらの事情があるのかも知れません。
ですが、私は、それを汲む必要はないと考えています。
事情があるからと言って、それが一線を越えていい理由にはならないと思うからです。
たまたま話の流れで、このようなことに触れなくてはならなくなってしまいましたが、改めてこの場をお借りして、今一度お伝えしておきたいと思います。(ご清聴ありがとうございました)
すみません。
ちょっと話が逸れてしまいましたが、気を取り直しまして!!
こちらは、左側にマルセイユタロットの〝教皇(英語ではPope)〟、そして真ん中にはベイリー氏著『A New Light on the Renaissance』に描かれている手の形をした透かし模様と鍵の透かし模様、そして右側にはウェイト=スミスタロットの〝教皇(Hierophant)〟を並べたものになります。
ちなみに、マルセイユタロットの〝教皇〟が、若干ぼやっとして見えていると思うのですが、これはカードそのものがそういうものなのです。
昔は、版画でカードを印刷していたので、むしろ、このマルセイユタロットにはその版画の風合いが残されているのだと思っています。
それとあと〝教皇〟に限らず、割とみんなちょっと変な顔をしているので、なんとなく愛くるしさがあります。
恐らく、説明は不要かと思いますが、左右こそ違うものの、特に上段の右の手の透かし模様と、どちらの教皇も、同じ手の形をしているように見えますよね。
また、ウェイト=スミスタロットの〝教皇〟の中央下段には「どちらかがどちらかを真似したんじゃない?もしくは2人は友達だったとか」と言いたくなるほど、下段の鍵の透かし模様と同じような鍵の絵が描かれています。
だから何、ということではないのですが、実際にこういうものを見付けてしまうと、「むしろウェイトが面白いんじゃない!?」と私は思ってしまうのですね。(何が面白いのかはよくわからないのですが)
正直なところ、タロットの起源がアルビジョワ派にあるかの是非は、一生わかり得ないと思っているので、良い意味で「どちらでも良いんじゃない?」と思ってしまっています。
今のところは、特に解明する気もありませんし、私は〝謎〟は謎に包まれていた方が面白いこともあるんじゃない?と思う方なので。
話を戻しますが、歴史的には、初期のマルセイユタロットは17世紀半ば(私のマルセイユタロットは19世紀末頃のデザインです)、ベイリー氏著の『A New Light on the Renaissance』と、ウェイト=スミスタロットは20世紀初頭のものになります。
ですので、時系列的には、そもそもは、「マルセイユタロットの〝教皇〟に、何かしら、アルビジョア派の透かしを読み解く秘密が隠されていたのかも知れない、、、」ということになるのでしょうか?
ウェイトの時代には、既にアルビジョワ派の人たちは存在しなかったようなので、もし、ウェイト=スミスタロットの〝教皇〟のカードに、アルビジョワ派の何かしらの暗号を解く手掛かりがあるのだとしたら、、、それはもう、まるでウェイト自身が仕込んだようにも思えてしまいますよね。。。
ですが、ひとまずそのことについては触れず先へ進みたいと思います。(笑)
更に時代を遡りますと、また別に有名なタロットの存在がありますよね。
これまでにも何度か触れたことがありますが、そうです。
『現存する最古のタロット』とも呼ばれている〝ヴィスコンティタロット〟です。
時代的に言えば、こちらは15世紀半ばになりますので、厳密に言うなら、むしろ、このヴィスコンティタロットに、〝透かし〟に込められた暗号の解読法のような何かが込められていたとする方が私的には納得がいくのですが、みなさんはどう思われますか?
その辺りどうなのでしょう、ウェイト先輩。。。
あっ、でも、実際のことはわかりませんが、ヴィスコンティタロットの〝教皇〟も、呼び方としては〝Papa(イタリア語のPope/Papeに相当)〟だったと思うので、ウェイトが言う〝Pope〟は、最初からヴィスコンティタロットのことを指しているのかも知れませんね。(大元のヴィスコンティタロットには各カードの名称は表記されていないんですね)
ヴィスコンティタロットの存在を知らないわけはないでしょうし、私が勘違いしていたかも知れません。
ちなみに、アルビジョワ派の起源は12世紀頃まで遡ります。
そして、14世紀半ば辺りには途絶えてしまったとありますので、少し冷静に考えてみますと、ちょっとこのウェイト先輩の起源説には「かなり無理があるんじゃない?」と、私的にはやや否定的に見えてしまうのですが、ですが本当にいなくなってしまったのかはわかりませんからね。
ウェイトの時代と現代では明らかに物事の知れる領域が違いますからね、もしかしたら、私たちが当たり前に知っているようなことを、ウェイトの時代では知り得ないこともあったかも知れませんし。。。
「もしかしたらそのような可能性もあるのかも知れない、、、」
そのくらいに留めておくのが良いのかも知れませんね^^
おまけ:ソードの3
〝教皇〟ほどではないのですが、なんとなく見た瞬間に「ソードの3やん!!」と思ったので共有させてください。

『A New Light on the Renaissance』(1909年)
Internet Archiveより
もちろん真偽についてはわかりかねますが、「これ、(ベイリー氏の透かしを)混ぜたの?」みたいではありませんか?
こちらも、だからと言って何というわけではないのですが、こんなふうに、けっこういろいろなページで自ずと「ピカッ」となるものがありました。
他にも〝意外な発見〟をしてしまったのですが、これはかなりの超大作、長丁場になりそうなので、本当に時間がある時に取り掛かろうと思います。
ちなみにこれは、恐らく、気付いている方はいらっしゃるだろうとは思うのですが、さっと探した限りでは、日本語で書かれているサイトにはなかった発見です。(得意気♪)
本来なら、本文である英語をすらすら読めれば良かったのですが、ほとんど文字は読んではいません。
と言いますか、こちら(『The Pictorial Key to the Tarot』)で、既に手一杯です。
ですが、絵を見るのに、言葉はなくても通ずるものがあったりするではありませんか?(ちょっと良く言いすぎてる気もしなくはないですが笑)
ですから、とにかく透かしのイラストが載っているところだけを、じーっと見続けていました。
ちなみに、そもそもなのですが、この『A New Light on the Renaissance』は、ベイリー氏が奥様に捧げたもののようですよ。
冒頭の方に、〝TO MY WIFE〟とだけ記されたページがありました。
正直、「これを贈られて嬉しい女性っているのかな、、、」と、そのようなことを思ってはしまいましたが、とは言え、ベイリー氏の奥様への深い愛情はとてもよく伝わりました。
というわけで、Harold Bayley著『A New Light on the Renaissance』より、「もしかしたら、ウェイト=スミスタロットとの接点かも!?」という仮定のお話でした。
ご清聴ありがとうございました。
〝Pope〟と〝Hierophant〟の違いについて
では最後に、2つの〝教皇〟=〝Pope〟と〝Hierophant〟の違いについて、ご説明して終わりにしたいと思います。
既にけっこうな量になっていると思いますが、私もできれば、もう少し穏やかに済ませたいところなのですが、どういうわけかいつも課題が多めなんですよね。。。ぶつぶつ
まぁ、一筋縄でいかないこともまた、〝面白さ〟の1つなのかも知れませんけど。
また、ここでお伝えする〝違い〟は、〝Pope〟と〝Hierophant〟という語の成り立ちや背景に関するもので、ありがちな解説書に書かれているような〝それっぽい意味〟とは異なります。(いつもお伝えしていることですが、私はどうもそうした解釈には馴染めませんで、、、)
ですが、冒頭の方でもお伝えしましたように、これら2つの〝教皇〟には明確な違いがありますので、むしろそうした違いを知ることの方が、私的にはよっぽど、リーディングを深めたい方の役に立つ気がします。
では、まずは簡潔に2つの〝違い〟を表にしてまとめたいと思います。
| 項目 | Pope(教皇) | Hierophant(ヒエロファント) |
|---|---|---|
| タロットの名称 | 「The Pope」(マルセイユ版等) | 「The Hierophant」(ウェイト=スミス版以降) |
| 語源・由来 | ラテン語「papa」=教皇。宗教制度の最高聖職者 | ギリシャ語「hierophantes」=聖なるものを示す者 |
| 象徴的解釈 | 神との仲介役として制度・秩序を語る存在 | 内的導き手として精神・知識の回路を開く存在 |
| 近代的解釈 | カトリック的権威としての象徴性を保つ | 宗教色を薄め、思想・象徴性へ拡張された存在 |
また念のため、先ほどお見せした2人の教皇を今1度ここに載せますね。(スマホだと戻るの大変ですよね汗)

(右)ウェイト=スミスタロットの〝教皇〟
ちなみに私は、このマルセイユタロットの左下の辺りの部分は、何がどうなっているのかよくわかっていません。
恐らく、ウェイト=スミスタロット同様、2人の教徒のような人物がいるのだろうとは思うのですが、右側の人物が手を併せているようなのはわかるものの、左の人物は、どういういで立ちでおいでなのか見当もつきません。
では、少しだけ詳細についてお伝えしたいと思います。
タロットカードの大アルカナ5番は、現状、いつの時代も〝教皇〟のカードになります。
主にマルセイユタロットの辺り、19世紀頃までは〝The Pope〟(正確にはフランス語の〝LE PAPE〟が正しい表記だと思いますが、ウェイトが英語で表現しているため、敢えて英語で進めたいと思います)と呼ばれ、現代の、主にウェイト=スミスタロットの辺り(20世紀初頭)から〝Hierophant〟という呼び方に移り変わっていきました。
なお、現代でも、昔のものを再構築したりして〝The Pope〟と表記されたタロットは存在します。
元々は、実在する教皇に寄せて、宗教的な象徴として描かれていたと言われています。
ですが、近代では、実在する聖職者などを指す言葉ではなく、「神聖なものを示す人」という解釈があてられ、より精神的且つ抽象的な人物を表すために〝Hierophant〟とした、という説があるそうです。
〝Pope〟という単語は、元々はラテン語(出ました!久しぶりですね笑)の〝papa(教皇)〟に由来し、キリスト教は主にローマ・カトリックの最高位である聖職者のことを意味します。
対し、〝Hierophant〟は、ギリシャ語の〝hierophantes〟に由来し、古代の神秘的な儀式において、人々に神聖な事物を示す役割を担う人のことを指していたそうです。
要は、秘義の伝道師、精神的な教えを説く人物、というようなニュアンスかと。。。
象徴的な解釈としましては、〝Pope〟は宗教的秩序の中心として、教えや制度を人々に伝える存在とされ、一方〝Hierophant〟は、目に見えない知識や精神的な価値に触れる手助けをする存在として描かれているそうです。
どちらも『人を導く』というような役割を持つわけなのですが、その導き方や関わり方には少し違いがあるように感じられます。
意外なのが、ウェイトは、かなり熱心なキリスト教信仰者であることが伺えていたものの、自身のカードではキリスト教色を薄めているんですよね。
調べてみたところ、18世紀頃までのタロットは、確かにキリスト教色が強かったそうなのですが、その頃の辺りから、タロットの脱宗教化、秘教化という流れがあったそうです。
どちらかと言うと、ウェイト=スミスタロットは、かなり象徴的、そして心理的な解釈を成す傾向が強い気がしますので、そのような傾向が、直接的に関与していたかどうかまでは、ちょっと判断がつきません。
ちなみになんですが、多分この〝教皇〟のカードを〝司祭〟や〝法王〟と呼ばれる方もいらっしゃいますよね。
豆知識として知っておくと便利かなと思うので、良かれと思ってお伝えしますが、基本的に現在の日本では〝法王〟ではなく〝教皇〟と呼ぶように統一したそうですよ。
少し前にそのような決まりができて、公の放送などでは〝教皇〟を使うとしているそうです。(外交上では〝法王〟という表記が残るものもあります)
これは、この記事を書いている中でふと思ったことなのですが、確かに〝Pope〟は「教皇」と言えると思いますが、〝Hierophant〟は、もう教皇ではない別の何かですよね。
そもそも、元の単語から違うわけですしね。
そして、その〝何か〟を言葉にするのであれば、本来は「司祭」と言った方が、本質としてはあっているのかなと思いました。
日本語にした途端、一括りにされがちな〝教皇〟のカードですが、実際にはこのような違いがあり、それを少しずつでも紐解くと、本質的に異なるものだということがお伝えできたのではないでしょうか。
また、大アルカナの中でも比較的、地味なカード(特にウェイト=スミスタロットの方は)といった印象があるかも知れませんが、兎にも角にも、私にいろいろな影響を与えたのは、この〝教皇〟改め〝司祭〟のカードでして、私はこのカードが大好きです。
ちなみにウェイト=スミスタロットの〝司祭〟(以後、司祭と言うようにしようかな)の頭をよぉ~く見てみてください。
何か刺さっていますよね!?
気持ち的には、裏で『火曜サスペンス劇上』の、あのBGMと共にお送りしたいところなのですが、、、
これ、実は〝釘〟なんですが、こういう細かなところまで、ウェイト=スミスタロットには何かしらの細工が施されているので、私はこれが楽しいのだと思いました。(ちなみにこの〝釘〟自体に意味はあるのです、それが『生命の木』に繋がっていきます)
ちなみに、「なら〝女教皇〟と呼ばれるカードも、実際は〝女司祭〟なのかも?」と思うようになってきました。
実際、〝教皇〟たるものに、女性の存在はなかった(いた説もあるそうですがかなり薄いとのこと)とされているそうですが、でも、こんなふうに歴史をちょっとずつでも紐解いていくと、こうしたささいなことかも知れませんが、「どちらで呼ぶのが適切なのだろうか?」という疑問なんかにも、はっきりと得られるものがあると感じられます。
では、これで〝Pope〟と〝Hierophant〟の違いについてのご説明、並びに今回の『まとめ』を終わりにしたいと思います。
とりあえず私は、そろそろ、ヴィスコンティタロットを購入した方が良さそうな気がしました。
月並みな言葉になりますが、いつも最後まで見てくださり、本当にありがとうございます。
また次回、お会いしましょう。


