『The Pictorial Key to the Tarot(PART1)』を解読しながら訳していく Vol.31
この記事は約 15 分で読めます。

こんにちは。
いつもご覧いただきありがとうございます。
最近見るようになった生物系YouTuberの方が、毎回、冒頭で「ご視聴ありがとうございます。」だなんて言うんですね。
「あっ、これいいなぁ~♪」と思い、私も取り入れてみました。
『善は急げ』、人の良いところはすぐ真似したくなるタイプです。
さて、、、
早速、前回の内容を振り返りたいところなんですが、前回もまた、膨大な情報量が詰め込まれた一文でした。
一度でお伝えしようとすると、かえってわかりづらくなってしまう気がするので、淡々と、1つずつ、順を追って、ご説明していきたいと思います。
前回の一文には、主に、ウェイト=スミスタロットの〝女司祭〟と〝塔〟のカードが出てきました。
一般的には、〝女司祭〟は〝女教皇〟とも呼ばれますが、その違いについても触れつつ、ウェイトが主張する提案がどのようなものかを見定めていきました。
ウェイトは「〝女司祭〟のカードがアルビジョワ派そのものの象徴かも知れない」「〝塔〟のカードは人間的な私利私欲や傲慢さに溺れたローマ教皇、あるいはローマ教皇制が崩壊する典型的な様子を象徴したものかも知れない」という仮説を述べていました。
また、塔のカードに取り入れたと見られる思想、『ヨハネ黙示録』の「七つの丘」にも焦点をあて、物語の内容などにも軽く触れていきました。
ウェイトが提案したこれらの仮説は、果たして、、、真実なのでしょうか。
みなさんは、どう思われたでしょうか。
真偽をはっきりさせるつもりはないのですが、現状、やはり私は「うーん、これはウェイトがそうあってほしいと願う作り話なんじゃない?」という見解です。
そう思った経緯なんかについても、いくつかの考察を挙げました。
今回はどのような内容が語られるのでしょうか?
楽しみですね。
では、参りましょう。
もくじ
今回の一文:提案者すら惑わせるタロットの魅力が浮かび上がる
今回の一文です。
The possibilities are so numerous and persuasive that they almost deceive in their expression one of the elect who has invented them.
Arthur Edward Waite
『The Pictorial Key to the Tarot』より
今回は短いので、特に分けず、このまま見ていきたいと思います。
宜しければ最後までお付き合いくださいませ。
よろしくお願いいたします。
タロットに魅せられたウェイト――その語りに滲む揺らぎの真意とは
はい、では〝The possibilities are so numerous and persuasive that they almost deceive in their expression one of the elect who has invented them.〟です。
まずは、単語の整理から行っていきましょう。
・possibilities → 可能性、仮説、あり得る展開
・numerous → 非常に多い、多数の
・persuasive → 説得力のある、納得させる力を持つ
・deceive → 惑わす、欺く
・expression → 表現
・elect → 選ばれし者(特別な知識や才能を持つ者というニュアンス)
・invented → 発明した、創造した
※これらはほんの一例です。
今回もほとんどでしたね。(すみません、いつもいつも)
では、まず最初に〝The possibilities are so numerous and persuasive〟までいきましょうか。
こちらは「その可能性は非常に多く、そして説得力のある」という感じでしょうか。
〝numerous(ヌーメラス)〟と似た言葉で〝numerals(ヌーメラル)〟という言葉があるのですが、こちらはタロットの数札(A~10)を指す言葉だったと思います。
今後、ウェイトが数札について何らかの言及をするかはわかりませんが、多分一般的にはそう呼ばれる解釈もあったと思います。
なんとなく、音が似ていたので思い出しました。(豆知識ということでお納めください)
では、次に〝that they almost deceive〟ですが、こちらは「それらはほとんど惑わせる」というような意味ですね。
続く〝in their expression〟が、「それらの表現の中で」というような意味で、前のものと合わせて「それらの表現において、ほとんど惑わせる」というような意味になると思うのですが、はて、、、
また何を言いたいのか、よくわからない雰囲気。。。
今回こそ、適切なボリューム感であってほしいですよね。(切実)
ねっ?
そして、〝one of the elect〟とありますが、こちらは「選ばれし者の一人」という感じですね。
最後に、〝who has invented them〟とありまして、こちらは「それらを(可能性を)創り出した人(者)」という意味になると思います。
〝invented〟には「発明した」「創造した」という意味がありますが、この〝創造〟というのが、ちょっとしたポイントかも知れません。
要は、自分だったり、ある対象が生み出したものという〝創造〟ですよね。
私は、ウェイトは意図的にこの言葉を選択しているというふうに見ています。
今回は、日本語としての接続詞がかなり欠けている感じがしますね。
英語なので当たり前っちゃ当たり前なのですが、ちょっと面白いです。
一度まとめてみましょう。
〝The possibilities are so numerous and persuasive that they almost deceive in their expression one of the elect who has invented them.〟
→ その可能性は非常に多く、説得力があり、それらの表現において、それらを創り出した選ばれし者の一人も、それらはほとんど惑わせる。
はい、このような意味になると思います。
これ、私自身まだはっきりと掴めたわけではないのですが、個人的には「かなり大きく出たな...」という印象です。
意味わかりますか?
恐らく、私の理解が正しければ、この「選ばれし者」というのは、恐らく、ウェイト自身のことを指していると思います。。。
また、『まとめ』の方で、根掘り葉掘り、掘り下げていきたいと思います。
では、解説に入りましょう。
まとめ|結論・解説・考察
では、改めて今回の一文をご紹介します。
The possibilities are so numerous and persuasive that they almost deceive in their expression one of the elect who has invented them.
Arthur Edward Waite
『The Pictorial Key to the Tarot』より
そして、今回のこれまでの訳です。(多少不自然でも文の構造を優先しています)
その可能性は非常に多く、説得力があり、それらの表現において、それらを創り出した選ばれし一人の者も、それらはほとんど惑わせる。
また、これまでの流れも把握できた方がわかりやすいと思うので、改めて前回の結論もお伝えしておきます。
〝女司祭〟のカードが、アルビジョワ派そのものを表すものとして考えてみてください。
そして、〝雷に打たれる塔〟が『七つの丘の上の都市』――すなわち、ローマ教皇制の崩壊を切望する表れとして、また、教皇と彼が持つ世俗的な権力が神の怒りに触れ、霊的な建造物(塔)から引きずり下ろされる様子を表す――典型的な象徴として考えてみてください。
最後に、本文の内容をより忠実に整えた(当サイト比)訳がこちらです。
その可能性は限りなく、説得力にも長け、カードの持つ象徴はその創造主――選ばれし一人――さえ惑わされるほどである。
はい、このようにしました。
いかがでしょう。
敢えて意訳過ぎないようにしてみましたが、意味伝わりますかね?(ちょっと心配)
ということで、ここからは、最終的な訳までの経緯と、少しだけポイント等をお話しさせていただけたらと思います。
今回の一文についての解説・考察
はい、ではまず、今回の一文についての解説を行います。
恐らくなんですが、この一文。
と言いましょうか、ここ最近の一文にあった「タロットの起源がアルビジョワ派にある」という仮説そのものが、実はウェイトの創り話だった、、、と裏付ける内容がここに集約されているのではないかと思いました。
前回か、前々回からか、薄々私も「ちょっとおかしくない?」というようなことをお伝えしていたと思います。
歴史的な時間軸があっていないこと。
ウェイト=スミスタロット以前のタロットカードの名前を挙げたり挙げなかったり。
『オレでなきゃ見逃しちゃうね』です。
嘘です。。。
いずれにせよ、これまでにも、不自然だと感じられる点はいくつかありました。
しかし、ウェイトは初めから断定なんてしていないですし、「こうだ!」とも宣言していないんですよね。
個人的には、ここがいやらしく感じる部分ではあるのですが。。。
恐らくですが、ウェイト自身も、アルビジョワ派との直接的な関係がないことを認識していながら、それでもなお、自ら立てた仮説と自身のタロットが、あたかも密接な関係があるかのように語っていると見受けられます。
ウェイト自身、『これまでに誰も思いもつかなかった可能性』と語っていますし、『14世紀以前にはタロットの歴史は存在しない』とも語っております。
けど、「これは多くの思想家に提案できるほどの可能性(仮説)だ、敬意を持って」というようなことも言い切っております。
そう、あたかも事実であるかのように語りながらも、決して事実と断定することはなく、だからと言って自分の創り話ともせず、限りなく微妙な余地を残しながら語り続けているんですね、恐らく。
また、私個人の意見としましては、ウェイト=スミスタロットに限ってはですが、ウェイト自身が、アルビジョワ派で使われていたとされる〝透かし〟の紋様を自身のタロットに取り入れた可能性がかなり高いと、そう感じています。
それ以前のタロットのことについてはわかりませんが。(一応これまでの考察には、それ以前のタロットのことにも歴史的な観点からは触れています、ほんのちょこっとですが)
実際に、アルビジョワ派で使用されていた〝透かし〟について研究されていた、Harold Bayley(ハロルド・ベイリー)という方の資料を参考にしながら考察を深めていますので、宜しければぜひそちらもご覧ください。▶▶こちら
本当に自分を持ち上げるわけではないのですが、本当にこれまでの一文を「これでもか!」と言わんばかりに細部まで掘り返してきたかいがあったなって、今ほど報われた感あるのは初めてです。(泣)
ですが――ただ私は仮説という沼に自ら足を踏み入れ、創り話であろうその仮説の中で必死に藻掻き、気付けばただウェイトに振り回されただけの一読者――そんな結果だけが残ってしまったのではないかと危惧しています。。。
きっと、仲間がいると信じています!!
では最後に、本文で使われていた〝the elect〟というフレーズについて、少し言及していきたいと思います。
〝the elect〟を使った真意(考察)
今回の一文の内容を知って、実際、みなさんは、どう思われたでしょうか?
どんなふうにウェイトが映りましか?
最後に、今回の一文の中で「1番のポイントでもあったのでは?」と感じた〝the elect〟について、〝それらしい〟考察を述べ終わりにしたいと思います。
個人的な主観がかなり含まれますので、軽く聞き流す程度に留めていただけると幸いです。
少し前まで忘れていたのですが、これまでのウェイトの文章には、聖書等キリスト教にまつわる文脈が所々に散りばめられていましたよね。(もしくは、それをもじったような記述であったり)
前回、久しぶりにそのような表現が見られ(『七つの丘の上の都市』が該当)、なんとなく今回も「怪しい、、、」と思い調べてみたところ、なんとこれがヒット!!
〝the elect〟は、元々はギリシャ語の〝eklektos(選ばれた者)〟に由来しているそうで、現代でも、ユダヤ教においては、イスラエル民族が〝選ばれた民〟を表す言葉として、キリスト教では信仰によって選ばれた者たちを表す言葉として使われているそうです。(ここからはキリスト教のみに焦点を当てます。)
「神により救いのために選ばれた魂」というような意味で使われるそうで、恐らくウェイトも、このような思想を匂わせたかったのではないかなと考えています。
本文の〝the elect〟は、〝one of the elect who has invented them〟とあり、「それらを創造した選ばれし一人の者」というような意味になります。
そして、この「それら」というのは、ここでは「可能性」のことを指しますが、実際にはウェイトの立てた「タロットの起源がアルビジョワ派にある」という仮説のことだと考えるのが自然だと思うのですが、、、
ということは?
この解釈が正しければ、恐らくウェイトは、自らが創り出した仮説に対し「説得力がある」とも「創り出した自分自身、事実かと騙されてしまいそうなくらいです~」というようなことを言っていると思うのですが、、、
率直に、「えっ?何言ってんの?(棒)」というような気持ちです。。。
あくまで私個人の主観的な見方ですが、何処か自作自演とも呼べなくない、何処か強靭なナルシシズム臭すら漂うこの感じ。(ちなみに誤解を避けるために敢えて言いますが、『自分のことが好き』という人のことを否定的に見ているわけではありませんよ)
更に言うと、この〝the elect(選ばれし者)〟というフレーズを取り入れるところまでは理解できます。
しかし、「え?まさか、自分で自分のことを『選ばれし者』だとか、まさかそんなことは言っていないよね、、、」と見受けられる点は、また違った意味で問題かなと。。。
だからと言って、「ウェイト嫌い!」ともなりませんし、仮に、もしこの先嫌いになったとしても、この『The Pictorial Key to the Tarot』の訳を止める気はありませんから安心してくださいね。
ただ、言葉を巧みに使うという点については見事ですが、断定を避けつつ、あくまで「可能性の話」に留めながらも、敢えて誤解を招きかねない文章を構成するという姿勢は、正直私はあまり好きにはなれないなぁと思いました。
今で言う、印象操作のようなものにも見えなくありませんし、言い逃れの余地を残しながらも真実を語るかのようなその様は、あまり美しくないと思います。
インターネットのない時代ですしね、ましてや、みなが平等に教育を受けられなかった時代です。
このような構造であれば、一定数の人が真実だとして受け入れてしまっていたと思います。
しかしですね、現代にはインターネットというものがありますからね。。。
かと言って、私自身、インターネットで探した情報の何もかもを鵜呑みにしているわけでもありませんけど。
最近は、真実を探す方が難しく感じられますし。(かと言って、ないわけでもないのが本当に有難いことです)
余談になりますが、私個人の気持ちとしましては、今回の一件で、ウェイトの殿方としての魅力はかなり激減しました。(笑)
できれば今後、回復してくれることを祈ります☆彡
最後に、英語にはなりますが、「タロットの起源がアルビジョワ派にある」とする説を、否定的に検証している書籍を見付けましたので、参考までに共有しておきたいと思います。(放置していると広告が入りますが一応無料で読めます)
全部読んだわけではありませんが、ウェイトをはじめ、当サイトでも言及したことのある、ウェイトと同世代のオカルティストたちに対しても批判的な印象です。
【参考資料】
・『A Wicked Pack of Cards: The Origins of the Occult Tarot』(1996)
∟ Michael Dummett, Ronald Decker, Thierry Depaulis
オックスフォード大学の論理学教授でもあり哲学者としても世界的に有名なSir Michael Dummett(マイケル・ダメット)をはじめ、美術史家でありカードコレクターでもあるRonald Decker(ロナルド・デッカー)、そしてフランスのゲーム史研究家であり、カード史の第一人者とされるThierry Depaulis(ティエリー・ドゥポリス)3名が共著した学術的研究書です。
タロットの神秘的起源説(例:アルビジョワ派との関連)を一次資料に基づいて批判的に検証し、タロットの起源を15世紀イタリアの遊戯文化に位置づけ直しています。
割と最初から、タロットの起源について言及がされています。
もちろん、ここに書かれていることが全て正しいとも限りませんが、もしご興味がありましたら、ぜひ読んでみてください。
念のため、学術的に「タロットの起源がアルビジョワ派にある」という資料が存在するのかも調べてみたのですが、今のところ世界中(インターネットで見られる限りにはなりますが)何処を探してもなさそうです。(当サイト調べ)
以前お伝えしました、Robert V. O’Neill(ロバート・V・オニール)博士の記事も、「そういう可能性もあるかもだよね~」というような内容だったと思います。
以上、調査報告でした。
はい、今回も満身創痍です。
前回や、前々回ほどのボリューム感ではありませんでしたが、しばらく「サクッ」と思うように進みませんね。
私の夏休み、予定していたよりも遠くなりそうです。。。うぅ。
それにしても、気付けば8月ですね!?
ついこの間、弘前に来たばかりだと思っていたのですが、もう8ヶ月も経つんですね。
今年ももうお終いかぁ。。。
「早いよ!」と思われた方、さてはお若い方ですね、ふふっ。
45にもなると、8ヶ月前なんてもう1~2ヶ月前のことみたいです。
ねっ?(同年代の方向け笑)
では、最後まで読んでくださった方ありがとうございました。
また次回、お会いしましょう。


