『The Pictorial Key to the Tarot(§2 TRUMPS MAJOR)』翻訳・解読【恋人】Vol.1

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こんにちは。

『タロットの世界』へお越しくださりありがとうございます。

今回から、マルセイユタロットの大アルカナ6番「恋人」のカードになります。

マルセイユタロット(ニコラ・コンヴェル版/グリモー版)「恋人たち」
マルセイユタロット「恋人たち」
(ニコラ・コンヴェル版/グリモー版)

あらかじめお伝えしておきたいのですが、もし本当に20世紀初頭のマルセイユタロットの解釈を知りたかったら、 Éliphas Lévi(エリファス・レヴィ)を辿ることをおすすめします。

まだ6枚目と序盤ではありますが、これまで当時の解釈についてあまり多くは語られていません(私も残念でした)。

20世紀初頭のウェイトの解釈や思い方を知りたいという方にとっては、きっと何かしらお力になれることがあると思うのですが、もし占い的な側面でマルセイユタロットの「恋人」の解釈を知りたくて、当サイトにお越しくださっている方がいらっしゃったとしたら――私としては、ぜひこのまま見ていただけると嬉しいのですが、念のためお伝えしておこうと思いました。

ちなみになんですが、私はこのカードを「恋人たち」と呼んでいます。

特に、ウェイト=スミスタロットにおいては〝Lovers〟という名称が付いており、単純に「複数形だから」という理由で、そのように解釈してしまっていました。

ですが、個人的には「恋人」でも「恋人たち」でも、どちらであってもそこまで差異があるように思えませんで……もしかすると道中「恋人」と言ったり「恋人たち」と言ったり、一応気を付けてはいるつもりですが、もし「たち」が抜けていたとしてもそこに何らかの意図を働かせているとかではないのでご容赦ください。

では、本題へ入りたいと思います。

前回の記事はこちら

『The Pictorial Key to the Tarot(§2 TRUMPS MAJOR)』日本語訳|マルセイユタロット【教皇】 | タロットの世界

マルセイユタロット「教皇」カードをめぐるウェイトの解釈を考察。大祭司や修道院長など多様な呼称を整理し、図像の象徴性と原初的な意味をわかりやすく解説します。

今回の文章:ウェイトによるマルセイユタロットの「恋人たち」

前半は、三つの文章を見ていきたいと思います。

6. The Lovers or Marriage.

This symbol has undergone many variations, as might be expected from its subject.

In the eighteenth century form, by which it first became known to the world of archæological research, it is really a card of married life, shewing father and mother, with their child placed between them; and the pagan Cupid above, in the act of flying his shaft, is, of course, a misapplied emblem.

※原文にある改行時に用いられるハイフン(-)は省略しています。

Arthur Edward Waite
『The Pictorial Key to the Tarot』より

これまで原文をそっくりそのまま打ち込んでいたのですが、今回から、本文に記載されている改行時に用いられるー(ハイフン)を除いた状態で掲載することにしました。

特に理由はないのですが、「あってもなくても…」という気がしてきたので。

では、よろしくお願いいたします。

一文目、二文目:「恋人」のカードの変遷

一文目は〝6. The Lovers or Marriage.〟と短いため、二文目の〝This symbol has undergone many variations, as might be expected from its subject.〟と一緒に見ていきます。

知らない単語が少なかったので、このまま進めていきます。

まずは〝6. The Lovers or Marriage.〟ですが、こちらは「6、恋人、または結婚」という意味です。

次に〝This symbol has undergone many variations〟ですが、こちらは「この象徴は多くの変化を経てきました」というような意味でしょう。

そして〝as might be expected from its subject〟とありますが、こちらが「その主題から予想されるように」という意味でしょう。

出だしは好調そうですね。

一度、まとめてみましょう。

〝6. The Lovers or Marriage.〟
6、恋人」、または「結婚

〝This symbol has undergone many variations, as might be expected from its subject.〟
→ この象徴は、その主題から予想されるように多くの変化を経てきました

マルセイユタロットでも、ウェイト=スミスタロットでも、大アルカナの6番は「恋人」という名のカードが一般的だと思うのですが、「結婚」という名称が使われていたことがあったのでしょうか?

調べてみますと、前回同様 Court de Gébelin(コート・ド・ジェブラン)が「結婚」と題して紹介していたそうです。ただし、これまでの流れを加味すると、恐らく一般的ではないと思います。

では、次に進みます。

三文目:18世紀の誤った解釈

三文目は〝In the eighteenth century form, by which it first became known to the world of archæological research, it is really a card of married life, shewing father and mother, with their child placed between them; and the pagan Cupid above, in the act of flying his shaft, is, of course, a misapplied emblem.〟です。

少し長いので、カンマ(,)を無視して意味のまとまりごとに分けますね。

In the eighteenth century form, by which it first became known to the world of archæological research,

it is really a card of married life,

shewing father and mother, with their child placed between them;

and the pagan Cupid above, in the act of flying his shaft,

is, of course, a misapplied emblem.

一つひとつの文章は短くなるので、わからない単語等は都度取り上げていく形で進めていきます。

三文目①

一つ目は〝In the eighteenth century form, by which it first became known to the world of archæological research,〟です。

まず〝In the eighteenth century form〟ですが、こちらは「18世紀の形態において」というような意味です。

次に〝by which〟とありまして、こちらが「それによって」という意味です。

そして〝it first became known〟とありまして、こちらが「それが初めて知られるようになった」という意味です。

こちらは受動態ですね。

続いて〝to the world of archæological research〟ですが、こちらが「考古学の研究の世界に」というような意味です。

この〝archæological〟という単語…と言いますか〝æ〟という文字を見慣れない方もいらっしゃるかも知れませんが、こちらは〝a〟と〝e〟が合体している文字で、主にラテン語や古い英語の表記に使われるものになります。つまり〝archæological〟と記述されていますが、〝archaeological〟でもあります(現代では〝archaeological〟と綴るのが一般的です)。

以前にも〝archæologist (考古学者)〟という単語で扱ったことがありましたね。

まとめると「18世紀の形態において、それは初めて考古学の研究の世界に知られるようになった」というような意味になります。

しかし、これを鵜呑みにするのは少し注意が必要な気がします。

まだこの時点では何とも言えませんが――私はタロットの持つ世界観も面白いと思っていますが、歴史も好きで、正直この部分を聞いて「そんなわけあるかな…」と、普通にそこは結び付くものではない気がしています。

私は「考古学」と聞くと当たり前のようにエジプトが浮かぶのですが、「エジプト」と聞くと「タロットはエジプトで生まれた!!」という説を唱えた人物がいたなと思います(現状タロットの発祥はイタリアです)。

そうです。

もしかすると、この記述もコート・ド・ジェブランの文脈を引用したものかも知れませんね。(断定はできませんが、前回からそのような傾向が見られます)。

では、続きを見ていきましょう。

三文目②

二つ目は〝it is really a card of married life〟です。

こちらは「それは本当には結婚生活のカードです」というような意味です。

雰囲気的にはマルセイユタロットの「恋人」の方を指しているような気がしますが、いかがでしょう?

左:ウェイト=スミスタロット「恋人たち」、右:マルセイユタロットの「恋人たち」
左:ウェイト=スミスタロット「恋人たち」
右:マルセイユタロットの「恋人たち」

見ての通り、ウェイト=スミスタロット(左)の「恋人」は結婚生活という感じではないですよね。

ただ、個人的にはマルセイユタロットの方も「結婚生活?そうかなぁ?」という気もします。

続きも見ていきましょう。

三文目③

三つ目は〝shewing father and mother, with their child placed between them〟です。

〝shewing(示している)〟は昔の綴りで、現代の〝showing〟のことです。

まずは〝shewing father and mother〟ですが、こちらが「父と母を示している」というような意味です。

続いて〝with their child placed between them〟ですが、こちらが「彼らの間に置かれた子供と共に」というような意味です。

〝placed〟は「置かれた」という意味ですが、「子供を置く」という表現は不自然なので、「配置された」「描かれている」「表している」というようなニュアンスだと思います。

まとめますと「父と母と、彼らの間に配置された子供と共に示している」というような意味になると思います。

やはり、マルセイユタロットの「恋人」の描写について解説しているようですね。

次に進みましょう。

三文目④

では、四文目〝and the pagan Cupid above, in the act of flying his shaft〟を見ていきましょう。

まず〝and the pagan Cupid above〟ですが、こちらは「そして上方には異教のキューピッドがいる」という意味だと思います。

これは天使ではなく、キューピッドだったのですね。

あまり、じっと見たことがなかったのですが、確かによく見ると弓矢を持っていますね。

〝pagan〟という単語は、元々ラテン語の「田舎者(paganus)」に由来し、初期のキリスト教によって広まった、主にキリスト教以外の宗教に属する人=「異教/異教徒」を指す語でした。

ですが、一般的にあまり良い表現ではないと思います。

「異教」と言うのは、恐らく、キューピッドはキリスト教と関係のないものだからでしょうか。

さっとお伝えしますが、「キューピッド」は神話が元となっていて、〝神話〟というくらいなので神様なのですよね。しかし、キリスト教は一神教ですから、神話と言えど〝キリスト教以外の神〟という扱いになり「異教」としているのかなと思います。

次に〝in the act of flying his shaft〟ですが、こちらは「彼の矢を飛ばしている行為の中で」というような意味です。

日本語として少し不自然ですが、「上方には矢を放とうとしている異教のキューピッドがいる」といようなニュアンスかと思います。

では、最後の文章です。

三文目⑤

最後は〝is, of course, a misapplied emblem〟です。

一度にいきますが、こちらは「それは――もちろん――誤って適用された象徴です」というような意味です。

こんな〝is〟だけでカンマ(,)を打っている文章を初めて見ましたが、日本語の文章にすると、このような雰囲気になるそうです。

〝溜め〟と言いますか、こうすることで「もちろん」が強まりますよね。

〝misapplied〟が「誤って適用された」という意味なのですが、「不正使用」「悪用」「不適切に使われた」という意味もあり、かなり批判的なニュアンスを含んでいると思います。

一度、これまでの文章をまとめてみましょう。

① In the eighteenth century form, by which it first became known to the world of archæological research
18世紀の形態において、それは初めて考古学の研究の世界に知られるようになった

② it is really a card of married life
それは本当には結婚生活のカードです

③ shewing father and mother, with their child placed between them
父と母と、彼らの間に配置された子供と共に示している

④ and the pagan Cupid above, in the act of flying his shaft
そして上方には異教のキューピッドがいる彼の矢を飛ばしている行為の中で

⑤ is, of course, a misapplied emblem
それは――もちろん――誤って適用された象徴です

そして、少し自然な日本語に寄せながら繋げてみます。

〝In the eighteenth century form, by which it first became known to the world of archæological research, it is really a card of married life, shewing father and mother, with their child placed between them; and the pagan Cupid above, in the act of flying his shaft, is, of course, a misapplied emblem.〟

→ 18世紀の形態において、それによりそれは初めて考古学の研究の世界に知られるようになった。それは実際には結婚生活のカード(を表しているもの)です。父と母、彼らの間に配置された子供、そして上方には異教のキューピッドがいる彼の矢を飛ばしている行為の中で。それは――もちろん――誤って適用された象徴です。

一まとめすると、このような形になりますでしょうか。

今回はここまでを〝前半〟として、まとめに入りたいと思います。

まとめ|解説、考察

改めて、今回の文章をご紹介します。

6. The Lovers or Marriage.

This symbol has undergone many variations, as might be expected from its subject.

In the eighteenth century form, by which it first became known to the world of archæological research, it is really a card of married life, shewing father and mother, with their child placed between them; and the pagan Cupid above, in the act of flying his shaft, is, of course, a misapplied emblem.

Arthur Edward Waite
『The Pictorial Key to the Tarot』より

また、これまでの流れも把握できた方がわかりやすいと思うので、前回の結論もお伝えしておきます。

5、「高位の司祭」、あるいは「祭司」、または「霊的な父」とも呼ばれ、そして一般的且つより明白な呼び方は「法王」である。
それは「修道院長(男性)」と呼ばれていたことさえあるようで、そしてそれと対応関係にある「高位の女司祭」は、「修道院長(女性)」あるいは「修道院の母」とされていたようだ。
いずれも恣意的な名称である。
その人物たちの徽章は教皇に関するものであり、その場合「高位の女司祭」は教会そのものであり、それ(教会)に対し「法王」や「司祭」は叙階という霊的な儀式により結び付けられています。
しかしながら、私は、このカードの初期の形態においては、ローマ教皇を表していたわけではないと考えます。

そして、今回のこれまでの訳です(多少不自然でも、なるべく原文に手を加えずダイレクトに訳したものになります)。

6、恋人」、または「結婚

→ この象徴は、その主題から予想されるように多くの変化を経てきました

→ 18世紀の形態において、それによりそれは初めて考古学の研究の世界に知られるようになった。それは実際には結婚生活のカード(を表しているもの)です。父と母、彼らの間に配置された子供、そして上方には異教のキューピッドがいる彼の矢を飛ばしている行為の中で、それは――もちろん――誤って適用された象徴です。

最後に、本文の内容をより忠実に整えた(当サイト比)訳がこちらです。

6、「恋人たち」あるいは「結婚」。
この象徴は、その主題から予想されるように多くの変化を遂げてきました。
18世紀の形態によって初めて考古学の世界に知られるようになったこのカードは、実際には結婚生活を表すものであり、父と母、そして彼らの間に配置された子供が示しています。そして上方には矢を射ようとしている異教のキューピッドは――もちろん、誤って用いられた象徴である。

このような形に整えました。

少しでも、内容が掴みやすくなっていたら嬉しいです。

ここでは主に、マルセイユタロットの「恋人たち」の説明をしているという認識で良さそうですね。

ただし、本当に「結婚生活」を表すものだったのかどうかはまだわかりません。

道中にもお伝えしましたが、恐らく、ここで語られている内容の多くは コート・ド・ジェブランの記述を引用した可能性が高いと思います。

それに、私は今までこの両側に描かれた人物は、両方とも女性だと思っていました。

戻るのは大変だと思うので、再度掲載します。

マルセイユタロット(ニコラ・コンヴェル版/グリモー版)「恋人たち」
マルセイユタロットの「恋人たち」

また、キューピッドは男性を狙っているように見えるんですよね。少なくとも左の女性を狙ってはいないかと。

キューピッドの矢って、刺さったらどうなるんでしたっけ?

アニメなどで見たイメージしかないのですが、もし男性にキューピッドの矢が刺さったら、その男性はどちらかの女性に対し恋に落ちるのでしょうか?

ですが、私の見立てだと、真ん中の男性が、左の女性から右の女性を守るようにしているように見えるんですね。でもそうすると、既に恋に落ちているということにもなります。だとするなら、左の女性が男性にちょっかい出しているようにも見えます。なんとなく表情も怒っているみたいに見えますし、あまり良い雰囲気には見えないですよね。

みなさんにはどう見えますでしょうか。

とは言え、またいつもお伝えしていることになってしまうのですが、更に「それを言っちゃおしまい…」と感じられてしまうかも知れませんが――そもそも、一枚のカードと完成しているものに、後から人々が解釈を付けたわけですから、本来は「誤って用いられたも何も…」というところな気がします。

できたら〝キューピッド〟にまつわる神話をお話ししたいところなのですが、私も全然知らず……私自身、予備知識を少し蓄えてから、また挑戦したいなと思います。

ちなみに、ヴィスコンティタロットの「恋人たち」は――

ヴィスコンティタロット(カーリー・イェール版)の「恋人たち」
ヴィスコンティタロット(カーリー・イェール版)「恋人たち」

このようなカードで、付属の解説書を読む限りでは「目隠しをしたキューピッドが飛行中」とのことです。

となると、やはり最初からキューピッドであり、ウェイトが「要らない」と判断したからこそ、自身のタロットには入れなかったことが一目瞭然かと思います。

こちらもいつもお伝えしていることになりますが、ウェイトの時代には、まだヴィスコンティタロットは発見されていませんでした。

つまり、やはり「誤って用いられたもの」というのも、ウェイト独自の解釈の可能性は高いと思います…。

ひとまず、今回はここまで。

また後半も訳してから、いろいろと深掘りしていきたいと思います。

では、最後まで見てくださりありがとうございます。

また次回。

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