『The Pictorial Key to the Tarot(§2 TRUMPS MAJOR)』翻訳・解読【力】

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こんにちは。

『タロットの世界』へお越しくださり、ありがとうございます。

今回は、マルセイユタロット大アルカナ8番の「正義」だと思っていたのですが…なんと、11番の「力」のカードが出てきました。

実は、マルセイユタロットの8番は「正義」なのですが、ウェイト=スミスタロットになると8番は「力」のカードになります。そして、マルセイユタロットの「力」のカードは11番、ウェイト=スミスタロットの「力」のカードは8番と、つまり入れ替わっているわけなのです。

この§2に入る前に、当時の従来のタロット(つまりマルセイユタロット)の紹介という前置きがあったのですが…一体どういうことなのでしょうか。

とは言え、これまで読んでくださった方であれば既にご承知のことかと思いますが、実際、マルセイユタロットそのものについて語られている印象はほとんどありません。

「ない」とは言いませんが、ウェイト自身(ウェイト=スミスタロット)の解釈を述べている場合もしばしば、後に自身のタロットについて語る章を設けてはいるのですが、何らかの布石のような感じがしています。

ということで、本来ならば8番は「正義」のはずだったのですが、こうした経緯から「力」のカードになりました。

マルセイユタロット(ニコラ・コンヴェル版/グリモー版)の「力」のカード
マルセイユタロット:「力」
ニコラ・コンヴェル版(グリモー版)

では、よろしくお願いいたします。

前回の記事はこちら

『The Pictorial Key to the Tarot(§2 TRUMPS MAJOR)』翻訳・解読【戦車】Vol.2

マルセイユタロット大アルカナ7番「戦車」を解説(後半)。カードの象徴性を考察し、哲学者プルタルコスによる再編集を基にしたオシリスにまつわる神話も紹介します。

今回の文章:〝Fortitude〟とされた「力」のカードの解釈

今回の文章です。

8. Fortitude.

This is one of the cardinal virtues, of which I shall speak later.

The female figure is usually represented as closing the mouth of a lion.

In the earlier form which is printed by Court de Gebelin, she is obviously opening it.

The first alternative is better symbolically, but either is an instance of strength in its conventional understanding, and conveys the idea of mastery.

It has been said that the figure represents organic force, moral force and the principle of all force.

※原文にある改行時に用いられるハイフン(-)は省略しています。

Arthur Edward Waite
『The Pictorial Key to the Tarot』より

「力」の欄はこれで全部なのですが、途中で分けると中途半端になってしまうと思ったため、少し量が多くなりますが、今回は一度に見ていきたいと思います。

また初めの頃は、カードの名称だけを記載して一文が終わりということがなかったのですが、近頃はカードの名称だけを記述する場合もあり、その際は二つ目の文章と合わせてしまいます。あまりにも短い文章の場合もそのように扱っていきますので、ご了承ください。

では、参りましょう。

一文目:「力」のカードに見る一つの象徴

最初は〝8. Fortitude.〟と〝This is one of the cardinal virtues, of which I shall speak later.〟の二つの文です。

さっと単語の確認だけしてしまいます。

fortitude → 剛毅、勇気、精神的な強さ(四大徳の一つ)
cardinal virtues → 枢要徳
virtues → 徳、善い性質

※ここでは一般的なものを挙げています。

〝cardinal virtues(枢要徳)〟と聞いて、「あぁ、○○ね!!」となる方はそう多くないと思います。私も生まれて初めて聞いた言葉でした。

先にお伝えしますが、これは、古代ギリシャの哲学からキリスト教の倫理論に取り入れられた〝人間の徳の基本となる4つの徳〟のことを指すそうです。

  • 慎重(Prudence):よく考えて正しい判断をする力。
  • 正義(Justice):人に公平に接し、約束や義務を守ること。
  • 剛毅(Fortitude):困難や恐れに負けずに立ち向かう強さ。
  • 節制(Temperance):欲望や感情を抑えて、バランスを保つこと。

一見小難しく見えるかも知れませんが、哲学やキリスト教に止まらず、生きる上で大事なことだと思います(がしかし、実際にそれを私ができているかはまた別の話…)。

では、まず〝8. Fortitude〟ですが、こちらは「8、剛毅(力)」という意味です。

こちらは「ごうき」と読みます。私は読めませんでした。

〝剛毅〟という漢字からも滲み出ているように「意志が強固で不屈なこと」を意味するそうです。

次に〝This is one of the cardinal virtues〟ですが、こちらは「これは枢要徳の一つです」という意味です。

続いて〝of which I shall speak later〟ですが、こちらが「そのことについては私は後で話すつもりです」というような意味でしょう。

というわけで、一度まとめます。

〝8. Fortitude.〟

→ 8、剛毅(力)

〝This is one of the cardinal virtues, of which I shall speak later.〟

→ これは枢要徳の一つであり、これについては私は後で話すつもりです

内容は理解できますよね。

次に進みます。

二文目:どの「力」の描写なのか

では、二文目〝The female figure is usually represented as closing the mouth of a lion.〟を見ていきましょう。

久しぶりに、わからない単語がなかったです。嬉しいです。

まず〝The female figure〟ですが、こちらは「その女性像は」という意味です。

次に〝is usually represented as〟ですが、こちらが「通常~として表される」というような意味です。

個人的には「大抵」という表現の方がわかりやすい気はしますが、ウェイトの口調を思うと「通常」の方が適している気がします。

そして〝closing the mouth of a lion〟とありまして、こちらが「ライオンの口を閉じている」というような意味でしょう。

まとめます。

〝The female figure is usually represented as closing the mouth of a lion.〟

→ その女性像は、通常、ライオンの口を閉じている姿として表されます。

こちらの一文は、どちらのタロットでもないかも知れません…。

左:ウェイト=スミスタロット「力」、右:マルセイユタロットの「力」
左:ウェイト=スミスタロット「力」
右:マルセイユタロット「力」

ウェイト=スミスタロットの方は、どちらかと言うとライオン(私はこれがライオンだとも思っていませんでした…)の頭と顎の辺りを「おーよしよしよーし」とているように見えますが、一方でマルセイユタロットの方は、ぐっと口元を開けようとしているように見えます。

ちなみに私は、マルセイユタロットの方は犬…のように見えていました。

「閉じている」という表現は少し違う気がするのですが、果たして、この一文の描写はどのタロットのことを指しているのでしょうか。

先へ進んでみましょう。

三文目:コート・ド・ジェブランの「力」(図像)

三つ目の文章は〝In the earlier form which is printed by Court de Gebelin, she is obviously opening it.〟です。

知らない単語が少なかったので、このまま進めていきます。

まずは〝In the earlier form〟ですが、こちらは「より古い形態では」というような意味です。

一瞬〝earlier〟が知らない単語かと思ったのですが、〝early(早い)〟の比較級だったのですね。

ダイレクトにすると「より早い形態から」となると思いますが、つまり、それは前文で言われているタロットより早い(前の)ものということを言っているのだと思います。

次に〝which is printed by Court de Gebelin〟ですが、こちらが「コート・ド・ジェブランによって印刷された」という意味です。

当サイトでは、コート・ド・ジェブランを〝Court de Gébelin〟と表記していますが、『The Pictorial Key to the Tarot』内では〝Court de Gebelin〟と記載されています。これは、フランス語の正しい綴りに含まれるアクセント記号(é)が、英語文献では省略されるためだと考えられます。

最後に〝she is obviously opening it〟ですが、こちらは「彼女(像)は明らかにそれを開けている」という意味です。

「それ」はライオンの口のことですね。

では、一度まとめます。

〝In the earlier form which is printed by Court de Gebelin, she is obviously opening it.〟

→ コート・ド・ジェブランによって印刷された、より古い形態では、彼女(像)は明らかにそれを開けている

内容としては「なるほど!」とはなれると思うのですが、実際のコート・ド・ジェブランのタロット(図像)が本当にそうだったかどうか、みなさんは気にはなりませんか?

有難いことに、『Wikimedia Commons』で実際のコート・ド・ジェブランが描いた図像が掲載されていました。

コート・ド・ジェブランが描いた「剛毅(力)」の図像
出典:Wikimedia Commons

こちらもライオンには見えない気がしますが、確かに口を開けようとしている描写には見えますね。

他の大アルカナも多数掲載されていましたので、よろしければこちらをご覧ください。▶▶ こちら

では、次に進みましょう。

四文目:「力」のカードにおける概念

四つ目は〝The first alternative is better symbolically, but either is an instance of strength in its conventional understanding, and conveys the idea of mastery.〟です。

ここは単語のチェックをしていきましょう。

alternative → 代案、二者択一(選択肢)
symbolically → 象徴的に、象徴として
either → どちらも、いずれか
instance → 事例、具体例、一例
conventional → 習慣的な、一般的な、月並みな
conveys → 伝える、表現する、運ぶ
mastery → 熟達、制圧、支配

※ここでは代表的なものを挙げています。

久しぶりに〝symbol〟系の単語が出てきましたね。これまで〝symbol〟や〝symbolism〟などの違いをまとめてきましたが、また新たに〝symbolically〟も加えて、そのうち整理したいと思います。その時の記事をご覧になりたい方がいらっしゃいましたら、ぜひこちらをご覧ください。▶▶ こちら

では、まず〝The first alternative is better symbolically〟ですが、こちらは「最初の解釈は象徴的により優れている」というような意味です。

ただし、本来なら「代案」というような意味を持つ〝alternative〟です。訳としては「最初の解釈」でも良いとは思うのですが、ウェイト的には「正式な解釈として認めてはいない」という雰囲気があると思います。

以前「奇術師」のところでは、〝interpretation〟という最も一般的な「解釈」を使っていたことがあったので、この違いは意識しておいた方が良いかなと思いました。

また、ここでの「最初の解釈」というのは前文の「女性像が口を開けている姿」のことだと思います。

次に〝but either is an instance of strength〟ですが、こちらが「しかし、どちらも力の一例です」という意味かと思います。

それから〝in its conventional understanding〟ですが、こちらが「その一般的な理解において」というような意味だと思います。

そして最後に〝and conveys the idea of mastery〟とありまして、こちらが「そして、熟達という概念を伝えている」というような意味かと思います。

しかし、この〝mastery〟が示す意味は幅広く、ニュアンスとしては「支配」の方が適しているかも知れません。

技術的な「熟達」、ライオン(あるいは他の動物)を「支配/制御」するほどの力、そういったものを表しているのだと思います。

と言いましたが、そうすると「熟達」より「制圧」と言う方が合っていますかね…ですが、「制圧」もちょっと強すぎる気がしてしまい、ちょっと迷ってしまいます。

一度、まとめてましょう。

〝The first alternative is better symbolically, but either is an instance of strength in its conventional understanding, and conveys the idea of mastery.〟

→ 最初の解釈は象徴的にはより優れているが、いずれもその一般的な理解における一例であり、そして支配という概念を伝えている。

ひとまずは「支配」としました。

ほとんど直訳に近い形ですが、なんとなく意味は伝わりますよね。

では、最後の一文を見ていきましょう。

五文目:「力」のカードに描かれた人物像が象徴するもの

最後は〝It has been said that the figure represents organic force, moral force and the principle of all force.〟です。

知らない単語がほとんどないので、このまま進めたいと思います。

まず〝It has been said that〟ですが、こちらは「それは~と言われている」という意味です。

次に〝the figure represents organic force〟とありまして、こちらが「その人物像は有機的な力を表している」というような意味かと思います。

日本でも、ここ近年は「オーガニック」という言葉を聞くようになりました。特に食品に使われることが多いのかなという印象ですが、私の中では「オーガニック」とは、本当の意味で「自然」「余計なことをされていない」というような解釈でした。

ですが、いざ「有機的な力」と聞くと「はて?」と具体的に説明するが少し難しい気がしませんか?

更に調べますと、「生命に根差した自然な力」「生命力」「自然な肉体的なエネルギー」というような意味があるそうなのですが、正直これでもまだ「ん?」という気持ちがあります。

突然ですが、私たちは日々寝ていても起きていても、絶えず心臓が動き続けていますよね。勝手に呼吸をして、勝手に生きる…と言うと語弊がありますが、ですがそれは私たちが敢えて生きようとしたことで行っている動きではありませんよね、基本的には。

私のわかる範囲ではありますが、呼吸や心臓、そういった無意識でも動き続ける力、そのようなことを指すのかなと思いました。適切かはわかりませんが、参考になれば幸いです。

それから〝moral force〟とありまして、こちらは「道徳的な力」というような意味ですね。

そして〝and the principle of all force〟とありまして、こちらが「そして、あらゆる力の原理」というような意味でしょう。

今思ったのですが、この「力」のカードの解説欄だけでも、既に「力」を意味する単語が三つほど出てきていますね(fortitude/strength/force)。

なんとなくですが、〝fortitude〟は単なる力よりもより強く、更に意志(意思)すら垣間見えるよう「力」、〝strenghth〟は一般的且つ肉体的な「力」、〝force〟は精神面だったり目に見えないような源的な「力」と、私なりですが、なんとなく同じ「力」でも違いがあるように思いました。

一度まとめてみます。

〝It has been said that the figure represents organic force, moral force and the principle of all force.〟

→ それは、その人物像は有機的な力、道徳的な力、そしてあらゆる力の原理を表していると言われてきました。

このような形でしょうか。

こちらもこのままでも意味は伝わりますよね。

では、一つにまとめてみましょう。

まとめ

改めて、今回扱った文章をご紹介します。

8. Fortitude.

This is one of the cardinal virtues, of which I shall speak later.

The female figure is usually represented as closing the mouth of a lion.

In the earlier form which is printed by Court de Gebelin, she is obviously opening it.

The first alternative is better symbolically, but either is an instance of strength in its conventional understanding, and conveys the idea of mastery.

It has been said that the figure represents organic force, moral force and the principle of all force.

Arthur Edward Waite
『The Pictorial Key to the Tarot』より

念のため、前回の「戦車」もお伝えします。

7、戦車
これは、いくつかの現存する写本の中では、二匹のスフィンクスに牽かれるものとして描かれており、その意匠は象徴性と調和しているが、それが元来の姿であったと考えるべきではない。このバリエーションは特定の歴史的な仮説を裏付けるために考案されたものである。
18世紀には、白い馬が戦車に繋がれていました。
その通常の名称に関して言えば、小なるものが大なるものを表している。それは実際には勝利した王であるが、とは言え(「戦車」のカードが)象徴しているのは、王権を自然な結果として生み出す勝利であり、それは第四のカードに見られる既得の王権ではない。
コート・ド・ジェブラン氏は、これを〝勝利するオシリス〟であり、すなわち春を征服する太陽が冬の障害を打ち破る姿だと述べた。
今日、死から蘇るオシリスを、そのような明白な象徴によって表現されていないということを我々は知っている。
また、例えばライオンや豹、馬以外の他の動物も〝currus triumphalis(勝利の戦車)〟を牽くために用いられてきた。

そして、今回のこれまでの訳です(多少不自然でも、なるべく原文に手を加えずダイレクトに訳したものになります)。

→ 8、剛毅(力)

→ これは枢要徳の一つであり、これについては私は後で話すつもりです

→ その女性像は、通常、ライオンの口を閉じている姿として表されます。

→ コート・ド・ジェブランによって印刷された、より古い形態では、彼女(像)は明らかにそれを開けている。

→ 最初の解釈は象徴的にはより優れているが、いずれもその一般的な理解における一例であり、そして支配という概念を伝えている。

→ それは、その人物像は有機的な力、道徳的な力、そしてあらゆる力の原理を表していると言われてきました。

最後に、本文の内容をより忠実に整えた(当サイト比)訳がこちらです。

8、力
これは枢要徳の一つであり、これについてはまた後ほど述べる。
この女性像は通常、ライオンの口を閉じている姿として描かれている。
しかしコート・ド・ジェブランによって印刷された古い形態は、彼女は明らかにライオンの口を開けている。
象徴的には最初の解釈の方が優れているが、いずれも一般的な理解における「力」の一例であり、支配という概念を伝えている。
それは、その人物像が、有機的な力、道徳的な力、そしてあらゆる力の原理を表していると言われてきた。

このような形に整えました。

今回はそこまで複雑な内容ではなかったと思います^^

ただし、個人的には「あれは犬じゃないのか?」と、やはりコート・ド・ジェブランの「力」も、マルセイユタロットの「力」も、どちらも私にはライオンには見えません…。

ウェイト=スミスタロットではライオンになっているとは思うのですが、これも過去の解釈を述べているように見せて、実はウェイト=スミスタロットの「力」を語っている可能性もあると思いました。

まだまだ先の話ですが、ウェイト=スミスタロットの「力」の解説部分では、どのようなことが語られているのかはわかりません。

しかし、それはそれとしても、今回の解説がウェイト自身あるいはウェイト=スミスタロットの解釈なのか、それとも一般的な解釈なのか、いまいちはっきりしませんでした。

言い方としては伝聞過去のような「言われてきた」、つまり「自分が言っているわけではない」というような言い方もしていたので、ここではひとまずは軽く受け止める程度に留めておくのが良いかも知れません。

今回は細かな解説は不要かと思います。以上となります。

次回はついに「隠者」のカードになります。

私もお気に入りのカードなので楽しみです!!

この§2の中でも3ページ強ある一番長い解説になりますので、長丁場になるかとは思いますが、どうか変わらずお付き合いいただけましたら嬉しく思います。

また、年内はこれが最後の投稿となります。

まだ開設して間もないサイトですが、おかげさまで多くの方に見ていただけるようになってきました。

至らない点は多々あるかと思いますが、これからも前向きに、誠実に、そして一生懸命訳していきたいと思います(ちなみに当サイトは翻訳専門というわけではありません笑)。

では、また次回お会いしましょう。

良いお年をお迎えください。

そしてまた、次回となる来年も引き続きご愛読いただけますよう、よろしくお願いいたします。

最後まで見てくださり、ありがとうございます。

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