『The Pictorial Key to the Tarot(§2 TRUMPS MAJOR)』翻訳・解読【正義】Vol.1
この記事は約 24 分で読めます。

こんにちは。
『タロットの世界』へようこそ。
今回から、「正義」のカードに入ります。

(ニコラ・コンヴェル版/グリモー版)
本来、一般的なマルセイユタロットであれば――
戦車 → 正義 → 隠者 → 運命の車輪 → 力
このような順番になるのですが、「当時のマルセイユタロットの紹介」というようなことを示唆しておきながら、実際はウェイト=スミスタロットの並びである――
戦車 → 力 → 隠者 → 運命の車輪 → 正義
と、「正義」と「力」のカードが入れ替えられた状態で紹介されていました。
今回に至るまでも、「この章は、当時のマルセイユタロットの紹介なんてものはされておらず、最早ウェイトの独擅場。ウェイトの書き換えたいように自身の思想や解釈を並べていると言っても過言ではありません。」というようなことを常々お伝えしてきましたが、この並びに関しましても、今のところ、これといった説明はされていません。
とは言え、現状そのことにつきましては何の手掛かりもありませんので、このまま本題に入ってしまおうと思います。
また、「正義」も「運命の車輪」と同じくらいの分量になりますので、3~4回に分けて進めていきたいと思います。
では、よろしくお願いいたします。
前回の記事はこちら
今回の文章:「正義」のカードで示すタロットの価値
今回扱う文章です。
11. Justice.
That the Tarot, though it is of all reasonable antiquity, is not of time immemorial, is shewn by this card, which could have been presented in a much more archaic manner.
Those, however, who have gifts of discernment in matters of this kind will not need to be told that age is in no sense of the essence of the consideration; the Rite of Closing the Lodge in the Third Craft Grade of Masonry may belong to the late eighteenth century, but the fact signifies nothing; it is still the summary of all the instituted and official Mysteries.
Arthur Edward Waite
『The Pictorial Key to the Tarot』より
三文目が非常に長いので、三文目の中で、また細かく分けていくかも知れません。
一文目と二文目は一緒に見てきます。
では早速、参ります。
一文目と二文目:ついに「タロットのエジプト起源説」の否定か
まず〝11. Justice.〟と〝That the Tarot, though it is of all reasonable antiquity, is not of time immemorial, is shewn by this card, which could have been presented in a much more archaic manner.〟です。
いつも通り、単語等の確認から始めていきましょう。
・though → ~だけれども、~とは言え
・reasonable → 妥当な、筋の通った、無理のない(理に適っているというような意味)
・antiquity → 古代、古さ、古代の遺跡
・immemorial → 太古の、記憶にないほど昔からの
・time immemorial → 太古の昔
・a much more → もっとずっと、はるかに
・archaic → 古風な、古語の、時代遅れの
・manner → 方法、やり方、態度、礼儀
※ここでは一般的なものを挙げています。
私は、『The Pictorial Key to the Tarot』の翻訳を始めてから、「よく耳にするような単語でも一度調べ直した方が良い」ということを知りました。
日本で当然のように使われている単語でも、実際に英語圏で使われている意味が全然違うということを度々目の当たりにしたからです。
いわゆる〝和製英語〟と呼ばれるものになるのだと思いますが、個人的にはこの呼び方もあまり好きではありません。
そもそも間違って広まった英語を、「和製=日本製」と言うことで正当化しているようしか思えないからです。
個人的には「それってもう英語じゃないよね?堂々と〝日本語〟としたらいいのに。その上で本来の英語の意味も教えてくれるなら、そもそもこんな風に後から学び直す必要もないのにな…」と思ってしまいます。
「英語がかっこいい」と思う気持ちも、わからなくはないのですが(私もものによってはそう思う方ですし)。
ですが、なんでもかんでも見栄えや聴こえを良くするために、大して理解されてもいない英語を多用するより、もう少し自分の国の言葉を大事にしたいなというのが私の気持ちです。
…ということで、敢えて細かく確認しました。
では、まず〝11. Justice.〟ですが、こちらは「11.正義」ですね。
ここで語られている内容は、主にマルセイユタロットの「正義」を指していると思いますが、念のため、ウェイト=スミスタロットの「正義」もご紹介させてください。

右:マルセイユタロットの「正義」
二文目はカンマ(,)が多いので、少しずつ見ていきましょう。
最初は〝That the Tarot〟ですが、こちらは「タロットが~であるということは」という意味です。
次に〝though it is of all reasonable antiquity〟とありまして、こちらが「とは言え、それが全ての妥当な古さだとしても」という意味になると思います。
ここでの〝all〟が抽象的に感じられ、わかりづらかったです。
昔の文献では〝all〟は「十分な」とされることもあるようなのですが、今のところ「全体的(あるいは総合的?)に見て」というような解釈でいいかなと考えています。
続いて〝is not of time immemorial〟ですが、こちらは「太古の昔のものではない」というような意味だと思います。
訳すのに精一杯で、あまり考えていませんでしたが、何やら「正義」の描写(また描写の話なのか…汗)について、思うことがあるようですね。
そして〝is shewn by this card〟ですが、こちらが「このカードによって示されている」という意味です。
段々と、珍しくもなくなってきましたが、この〝shewn〟は〝shown〟の昔の綴りです。
更に〝which could have been presented in a much more archaic manner〟とありまして、こちらが「それ(このカード)は、よりずっと古風な方法で描けたはずだ」というような意味です。
ふむふむ、一度まとめてみましょうか。
〝11. Justice.〟
→ 11.正義
〝That the Tarot, though it is of all reasonable antiquity, is not of time immemorial, is shewn by this card, which could have been presented in a much more archaic manner.〟
→ タロットが、それが全ての妥当な古さだとしていても、太古の昔のものではなく、(それは)よりずっと古風な方法で描けたはずであることは、このカードによって示されている。
うーん、ちょっと自信がありませんが、いつも通り、まずは直訳しました。
あまり文法的なことをやるつもりはないので、文法においての詳細は割愛しますが、この文章には見えない〝if〟が〝could have been〟のところに隠されているとのことで、このせいで曖昧な表現になっているのだとか。
その上、もはや〝標準装備〟とも呼べる、「わかる人だけわかればいい」というスタイルが色濃く出ている文章でもあるそうです。
少しわかりにくいと思うので、先に私の解釈をお話しさせてください。
まずは、いつも通り「上げて」と「下げて」が混同するので、わかりづらくもあるのだと思いますが、内容としては――
・タロットが古い物であるということを認めている
・一方で、だからと言って「太古の昔」というほどの古さではないと主張
・もしそんなにも大昔のものならば、もっと古風な描写であっただろう
というようなことを主張していると思います。
「もし、タロットが太古の物だとするのなら、こんな絵になるはずがない!!」というようなことを言っているんですね。

どのくらいの「太古」を指しているのかは分かりませんが、これは「確かにそうかもな」と頷ける主張だと思います。
タロットが、もし本当にエジプトに由来するものだとしたら…。
もしそうだとするのであれば、確かにカードに描かれている人物は、体はこちらを向いていても、顔は横を向いていたかも知れませんよね。
ついに、ウェイトが根拠らしい根拠を挙げるのでしょうか!?
これまで基本的に、根拠のない断定や、説得力に欠ける憶測が多かった印象なので、もしまともな根拠が聞けるのだとしたら、それは物凄く期待してしまいます。
では、次の文章に進んでみましょう。
三文目:本質を見抜くことの重要性
三文目は長いので、三つに分けて読み進め、最後にまた一つにまとめたいと思います。
三文目①
では、一つ目〝Those, however, who have gifts of discernment in matters of this kind will not need to be told that age is in no sense of the essence of the consideration;〟を見ていきましょう。
単語もしっかり確認していきますね。
・those → (ここでは)そのような人々は
・discernment → 識別力、洞察力
・matter(s) → 事柄
・in no sense → 決して~ではない
・essence → 本質、核心、真髄
・consideration → 考慮、検討事項
※ここでは代表的なものを挙げています。
これまで、かなり「エッセンス(essence)」を間違った意味で使っていました…(サイト内でも使っていた記憶が…汗)。
まぁいいか。
これから気を付けます。
では、見ていきましょう。
まず〝Those, however, who have gifts of discernment in matters of this kind〟ですが、こちらは「しかしながら、この種の事柄において、洞察力という才能を持つ人々は」というような意味になります。
かなり前のことになりますが、以前、この一節と似た文章を取り扱ったことがありました。(▶▶ こちら)
その際、ウェイトは〝gift〟を「先天的な能力=神様からのプレゼント」というような意味で使っていると解釈したので、今回もそのようにしました。
個人的には、「洞察力」と訳すより、「物事のいろいろを見抜ける力」といったニュアンスに近いと思うのですが、この辺りはまた最後の方で調整します。
文法的に「もう、そういうものだ」というのは理解しているのですが、カンマ(,)があるのに〝Those〟が独立せず、〝however〟を挟んだ後ろの文章と繋がっているというのが不思議でしょうがないんですよね。(笑)
ちょっとした〝溜め〟のような演出なのでしょうか…。
次に〝will not need to be told〟とありまして、こちらが「教わる必要がない」、もしくは「言われる必要がない」でしょうか。
そして、最後は〝that age is in no sense of the essence of the consideration〟ですが、こちらが「その年代はその考察において本質では決してないということを」というような意味だと思います。
一度まとめます。
〝Those, however, who have gifts of discernment in matters of this kind will not need to be told that age is in no sense of the essence of the consideration;〟
→ しかしながら、この種の事柄において、洞察力という才能を持つ人々は、その年代がその考察において本質では決してないということを、言われる必要がない。
日本語としては違和感がありますが、なんとなく伝えたいことは伝わってくる気がしますよね。
先に意訳を添えます。
「その考察」というのは、前文の――
・タロットが古い物であるということを認めている
・一方で、だからと言って「太古の昔」というほどの古さではないと主張
・もしそんなにも大昔のものならば、もっと古風な描写であっただろう
これらのことを指していると思います。
よって、「とは言え、この手の問題において優れた判断力を持つ人であれば、(歴史的な)年代はこれらの考察の本質を捉えていないよ、と説明するまでもない」ということになると思います。
敢えて、ひねくれた言い方をすると「物事の本質を見抜けない人には、いちいち説明しないとわからないんだろうけどね」ということですね。
なんか急に「ウェイトの文章って面白いかも…」と思ってしまいました。
そもそも、ひねくれた表現が多いので〝全部〟という風にはならないと思うのですが、「あれ?良くも悪くも捉えられるのか?」と、これまでにはなかった見え方が降ってきました。
まさに、この一節がそうではないでしょうか。
たまたま、なんとなく「ひねくれた言い方」をお伝えしてみたのですが、自分でやっておきながら、ふとそのように感じられました。
今までの文章もそうだったのでしょうか?
特に振り返る気はありませんが、「へぇー」と驚いています。
これは良いことに気付けました。
では、次の一節に進みたいと思います。
三文目②
二つ目は〝the Rite of Closing the Lodge in the Third Craft Grade of Masonry may belong to the late eighteenth century, but the fact signifies nothing;〟です。
また、単語の確認から行います。
・Rite → 儀式、典礼
・Lodge → フリーメイソンの集会場
・Third Craft Grade → フリーメイソンの階級/等級
・Masonry → フリーメイソンの団(組織)
・belong → 所属
・belong to → ~に属する、~の時代のものだ
・signifies → 意味する、重要性を持つ
・nothing → 何もない、何の意味もない、重要ではない
※ここでは代表的なものを挙げています。
それでは、参りましょう。
まず〝the Rite of Closing the Lodge in the Third Craft Grade of Masonry〟ですが、こちらは「フリーメイソンの第三階級におけるロッジの閉会の儀式は」というような意味です。
これまでにも、「フリーメイソン」という言葉自体は耳にしたことはありますが、実際どういう存在なのか、私は知りません。
大枠としては、フリーメイソンは『秘密結社(友愛団体とも書いてありました)』と呼んで差し支えなさそうですが、ウェイトが所属していた『Golden Dawn(ゴールデンドーン=黄金の夜明け団)』という秘密結社とは内容が異なるようなので、同一視しない方が良いとは思います。
ウェイトの文章の解読に必要あらば、また詳細を追いたいと思いますが、今はこのまま進めたいと思います。
続いて〝may belong to the late eighteenth century〟ですが、こちらが「18世紀後半のものかも知れない」という意味です。
そして、最後に〝but the fact signifies nothing〟とありまして、こちらが「しかし、その事実は何の意味も持たない」というような意味でしょう。
まとめます。
〝the Rite of Closing the Lodge in the Third Craft Grade of Masonry may belong to the late eighteenth century, but the fact signifies nothing;〟
→ フリーメイソンの第三階級におけるロッジの閉会の儀式は、18世紀後半のものかも知れませんが、その事実は何の意味も持たない。
この一節の言っている意味自体はわかるのですが、何故急にこのような内容の話を始めたのかが、全く理解できません…。
あっ、一つ前の節で「年代(age)」のことを触れていたので、それに付随してということなのかも知れません。
しかし、フリーメイソンの話でなくても良かったのではないだろうか…あまりにも唐突過ぎるような。
私で言うところの、ゲームの話になると急に熱が入るのと同じ症状ですかね。(笑)
では、最後の文章を見ていきましょう。
三文目③
三つ目は〝it is still the summary of all the instituted and official Mysteries.〟です。
少ないですが、知らない単語を挙げておきます。
・summary → 要約、集約、概要、まとめ
・instituted → 制定された、(制度として)確立された
※ここでは代表的なものを挙げています。
最初に〝it is still the summary〟ですが、こちらは「それは依然として集約です」というような意味だと思います。
日本語としては少し奇妙ですね。
実は、〝summary〟と調べると「エッセンス」と出てきたのですが、敢えて外しました…ぼそっ。
続いて〝of all the instituted and official Mysteries〟ですが、こちらが「全ての制定された、且つ公式な秘儀の」というような意味になると思います。
「制定された」か、「確立された」かはまだわかりません。
また、久しぶりに〝mys〟系の単語が出てきましたね。
〝mysteries〟〝mystic〟〝mysterii〟など、恐らく我々日本人には似たような言葉に思える単語ですが、ウェイトの文脈では明確な違いがあるように思います。
私なりの解釈にはなりますが、以前、簡単にまとめたものがありますので、もしご興味があればこちらの第5章をご覧ください。(▶▶ こちら)
では、まとめます。
〝it is still the summary of all the instituted and official Mysteries.〟
→ それは依然として、全ての制定された、且つ公式な秘儀の集約である。
はい、まずは直訳にしました。
「はっ?」と、急にまた不思議な話になりましたね。
最初は、一つ前のフリーメイソンの話の続きかと思ったのですが、フリーメイソンだと「儀式(Rite)」とあり、こちらでは「秘儀(Mysteries)」とあるため、恐らくは別の話だと思います。
ウェイトが一緒にするはずがありません。
なので、この「それは(it)」が示すのは、ウェイトが思う『タロット』のことだと思います。
つまり、「タロットは、依然として神秘主義のあらゆる公式の秘儀の要素を含んだ集大成だ」というようなことを言いたのかなと思います。
また「秘儀」とありますが、明確に「これ」とは言えませんが、わかるところで言えば『生命の木(つまりカバラ)』といった、大昔から存在する秘儀のことを指しているのだと思います。
何処までを「秘儀」として扱って良いのか、私には判断が難しいですが、例えば――黄金の夜明け団、グノーシス主義、薔薇十字団(ローゼンクロイツ、懐かしいですね)、アルビジョワ派、キリスト教、神話――など、もしかすると、このようなものも「秘儀」として扱われている可能性は十分に考えられると思います。
…それにしても、いざ振り返ってみると、本当に様々な思想に触れてきたんだなぁと改めて思います。
本当に、いつもお付き合いいただきありがとうございます。
では、改めて一つにまとめてみます。
〝Those, however, who have gifts of discernment in matters of this kind will not need to be told that age is in no sense of the essence of the consideration;〟
〝the Rite of Closing the Lodge in the Third Craft Grade of Masonry may belong to the late eighteenth century, but the fact signifies nothing;〟
〝it is still the summary of all the instituted and official Mysteries.〟
① しかしながら、この種の事柄において、洞察力という才能を持つ人々は、その年代がその考察において本質では決してないということを、言われる必要がない。
② フリーメイソンの第三階級におけるロッジの閉会の儀式は、18世紀後半のものかも知れませんが、その事実は何の意味も持たない。
③ それは依然として、全ての制定された、且つ公式な秘儀を集約した要約である。
しかしながら、この種の事柄において識別の才能を持つ人々ならば、年代というものがこの考察の本質では決してないということを言う必要がなく、フリーメイソンの第三階級におけるロッジの閉会の儀式は十八世紀後期のものかも知れないが、その事実には何の意味も持たず、タロットは今もなお、制定され、公式に認められたあらゆる秘儀の集大成なのである。
お疲れ様でした。
長くて大変だったかと思いますが、内容自体はそこまで複雑ではないと思います。
では、まとめに入りましょう。
まとめ
改めて、今回扱った文章をご紹介します。
11. Justice.
Arthur Edward Waite
That the Tarot, though it is of all reasonable antiquity, is not of time immemorial, is shewn by this card, which could have been presented in a much more archaic manner.
Those, however, who have gifts of discernment in matters of this kind will not need to be told that age is in no sense of the essence of the consideration; the Rite of Closing the Lodge in the Third Craft Grade of Masonry may belong to the late eighteenth century, but the fact signifies nothing; it is still the summary of all the instituted and official Mysteries.
『The Pictorial Key to the Tarot』より
また、今回から新しいカードに入ったため、前回の結論だけをお見せするのは控えさせていただきます。
もし宜しければ、「運命の車輪」Vol.1からご覧ください。
§2「運命の車輪」
そして、今回のこれまでの訳です(日本語としては不自然でも、なるべく手を加えず、ほぼ文法通りのダイレクトな訳になります)。
→ タロットが、それが全ての妥当な古さだとしていても、太古の昔のものではなく、(それは)よりずっと古風な方法で描けたはずであることは、このカードによって示されている。
→ しかしながら、この種の事柄において識別の才能を持つ人々ならば、年代というものがこの考察の本質では決してないということを言う必要がなく、フリーメイソンの第三階級におけるロッジの閉会の儀式は十八世紀後期のものかも知れないが、その事実には何の意味も持たず、タロットは今もなお、制定され、公式に認められたあらゆる秘儀の集大成なのである。
続いて、なるべく本文に忠実に、その上で日本語としてもう少しわかりやすく整えた(当サイト比)訳がこちらです。
11、正義
タロットが歴史的な古さを帯びていたとしても、太古ほど昔から存在するというわけではなく、もし本当に太古から存在したのであれば、それはもっと古めかしい様式で描けたはずであることが、このカードによって示されている。
この種の事柄において識別の才能を持つ者ならば、年代というものがこの考察の本質では決してないということは言うまでもない――しかし、敢えて例えるなら、フリーメイソンの第三階級における『閉会の儀式』は十八世紀後期のものかも知れないが、その事実には何の意味も持たない――タロットは依然として、制定され、公式に認められたあらゆる秘儀の集大成なのである。
「整えても長いなぁ…」とは思うのですが、本文も一息で文章を綴っていたため、なるべく区切らないようにしつつ、でもわかりやすさも損なわないようにするには、どうすれば良いか考えた結果がこうなりました。
どうかお納めください。
では最後に、解説と考察をお話しして終わりにしたいと思います。
解説・考察
細かな内容については、道中でも取り上げてきましたので、改めてここでは触れません。
ここでは、ウェイトのセミコロン(;)の使い方について、解説兼考察をお話ししたいと思います。
みなさんもお気付きだったと思うのですが、三文目は、全てセミコロン(;)を使って文章を繋いでいました。
私も「セミコロンってどういう時に使うんだっけ?」と、すっかり忘れてしまっていたので、改めて調べ直しました。
すると、面白い発見があったのです。
セミコロンは〝文法的に独立した文を繋ぐ〟という役割を持ちます。
また、ピリオド(.)より弱く、カンマ(,)より強い区切りを表し、基本的には関係性の深い文章を繋ぐものとされています。
つまり…
通常、関連が薄い文章をセミコロンで繋ぐ、というのは本来の使い方ではないはずなのです。
きっと、みなさんも感じられていたのではないかと思うのですが、私自身、どう見ても、最後の三節は全く繋がりのあるようには感じられませんでした。
そりゃ、ウェイト的には大いに関連性を感じられたと思います。
確かに『タロット』というものを基準にして見たら、どの一節も繋がりがあるようにも見えます。
しかし、それぞれの一節自体には、特に共通点もなければ、内容も三者三様、全てが異なっているとも言えます。
ウェイトが、セミコロンの使い方を知らないはずがありません。これまでにも何度か登場していますし。
私は、そもそも繋げる必要のない内容の異なる文章を、わざわざセミコロンを使って無理矢理に繋がりがあるように見せているのかなと思ってしまいました。
あっているかはわかりませんが、三文目は全体的に「なんか変なの」という印象がありました。
「観察力なり洞察力がある人には言う必要がない」と述べているにも関わらず主張を続ける姿勢には、思わず「あっ、続くんだ?」と口にしてしまいました。
もし仮にウェイトが、彼自身の主張を「読者も理解できる」という前提があったなら、恐らく、フリーメイソンの例は必要なかったと思います。
単に言いたかっただけかも知れませんけどね…。(笑)
そして、極め付けと言いますか、何より今回の文章の核となる部分は、「タロットはあらゆる秘儀が集約されている」だけではないでしょうか。
最後の一節こそが最重要事項で、正直、他の部分はあってもなくても良いのでは?という気がしてしまい、だからこそ、無理矢理な印象を受けたのかなと思いました。
また、ここでの「タロット」は〝Tarot〟と記述されているので、基本的にはウェイト=スミスタロットのことを指していると考えて差し支えないと思います。
ウェイトは、自身のタロット以外のものを〝it〟〝card〟〝trump〟というような語を用いて明確に区別していますので、恐らくこの見立てであっていると思います。
いつになるかはわかりませんが、これまで〝Tarot〟という語がどのような文脈で使われてきたのか、改めて整理してみたいですね。
もしかしたら憶測が行き過ぎている部分もあるかも知れませんが、あくまで一タロット研究員(最近はもはやウェイト研究員みたいになっていますが…)の独り言程度に受け止めていただければ幸いです。
では、今回は以上となります。
最後まで見てくださり、ありがとうございました。
また次回。

