『The Pictorial Key to the Tarot(§2 TRUMPS MAJOR)』翻訳・解読【運命の車輪】Vol.2

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こんにちは。

『タロットの世界』へようこそ。

今回も、§2「運命の車輪」の続きを見ていきたいと思います。

前回、最後の最後で「あれ?結局出だしから、マルセイユタロットの「運命の車輪」については何も触れられていなかったな…」ということに気が付きました。

毎回お伝えしていることになりますので、いつも読んでくださっている方には繰り返しの内容になってしまうのですが……この§2は「当時のマルセイユタロットの解釈については、ほとんど触れられない」と、念頭に置いていただけると良いかも知れません。

私自身、「この記事のタイトル、変えた方が良いかな…」と思うこともある反面、既にシリーズ化してしまっているため、「今から変えてもな…」という気持ちがあります。きっと、このまま進めていくのだと思います。

また、断片的に見てくださった方にはなかなか伝わりづらい部分もあるかも知れません。

内容が内容なだけに、一を知って十知れるというような近道が存在しないのです。

途中からですと、どうしても専門用語が多く感じられたり(それでもかなり少ない方だと思いますが)、「え?(占い的な)タロットの紹介じゃないの?」と思われてしまう方もいらっしゃるかも知れません。

そのため、当サイトは「タロットの占い的な意味の紹介を目的とはしていない」という点を、改めてお伝えしておかねばと思いました。

『The Pictorial Key to the Tarot』を読み進めていく中で、たまたまそのようなことに触れる機会はあるのですが、あくまでそれは翻訳を進める際に扱ったものに過ぎません。

最初は、私ももっと〝占い的な意味〟が語られているのだろうとぼんやりとでも想像していたのですが、実際に訳を進めていると、むしろ自分で訳して良かったと思えるほど、世間ではあまり触れられていない内容ばかりが描かれていました。

もちろん、思っていた以上に解読が難しいこともあります。

訳せても、すぐには内容が理解できないものも多いです。

それでも、少しずつでも紐解いていきますと、全く理解できないということはありませんし、またそこから派生して、この解読に携わっていなかったら、人生で決して触れることのなかったような分野に出会うこともありました。

幸い、私はそれも面白いなと感じられているので、大変ではありますが、やりがいはあります。

ここ最近は、ウェイトを通してスピノザ(Spinoza)という哲学者に夢中です。

では、前置きはこの辺にして、「運命の車輪」の続きを見ていきましょう。

よろしくお願いいたします。

前回の記事はこちら

『The Pictorial Key to the Tarot(§2 TRUMPS MAJOR)』日本語訳|マルセイユタロット【運命の車輪】Vol.1 | タロットの世界

§2「運命の車輪」スタート。本文の解説をはじめ、突如登場した謎の占い本『Manual of Cartomancy』や、当時のイギリスについて深く掘り下げていきます。

今回の文章:「運命の車輪」に込められた意図、そして副題が示すもの

今回扱う文章です。

I have no objection to such an inclusive though conventional description; it obtains in all the worlds, and I wonder that it has not been adopted previously as the most appropriate name on the side of common fortune-telling.

It is also the title of one of the Trumps Major—that indeed of our concern at the moment, as my subtitle shews.

※原文にある改行時に用いられるハイフン(-)は省略しています。

Arthur Edward Waite
『The Pictorial Key to the Tarot』より

またいつも通り、一文ずつ見ていきます。

「§2で語られる長文は割と難しいものが多い」と、前回身を以って体感しましたので、今回も心して掛かりたいと思います!!

前回は、マルセイユタロットの〝ま〟の字ほども、マルセイユタロットには触れられておらず、ひたすらウェイトが書いた本の宣伝のような内容でしたね(もちろんそれは、当時の読者には知り得なかったことではあるのですが)。

その中で、ウェイトは「タロット全体(つまり大アルカナ0~21のことだと思います)を「運命の車輪」と見なしている」ということを主張していました。

さて、続きではどのようなことが語られるのでしょうか。

それでは、参りましょう。

一文目:「運命の車輪」という凡庸な呼称を〝最適〟と断じるウェイトの自作自演

一つ目は〝I have no objection to such an inclusive though conventional description; it obtains in all the worlds, and I wonder that it has not been adopted previously as the most appropriate name on the side of common fortune-telling.〟を見ていきます。

まずは、いつも通り単語等のチェックから参りましょう。

objection → 異議、反対、異論
inclusive → ~を含めて、包括的な、幅広く含む
though → ~ではあるが、~だけれども
conventional → 習慣的な、ありきたりな、型にはまった
description → 説明(ここでは表現というような意味)
obtains → 通用する、成立する
adopted → 採用された
previously → 以前に、これまでに
appropriate → 適切な、ふさわしい
common → 一般的な、普通の、ありふれた

※ここでは一般的なものを挙げています。

すみません、また多くなってしまいました…。(涙)

隠者」の辺りから、急に学術的な雰囲気が強くなった気がしていて、そのためなのか、日常英語ではあまり使われないような単語が増えてきた気がします。

ウェイトの時代は、わざと難しいラテン語を使うことが知性を示すステータスとなっていました。

その上、神秘学(オカルト)界の重鎮 +〝回りくどさ〟と〝皮肉〟の天才である人物が書いた文章ですので、ご容赦くださいね。

「わかりにくい」と言ってしまえばそれまでなのですが、ウェイトの場合「わざとわからないようにしている」と言う方が適切で、これは物凄いスキルだと思うのです(ではっ)。

まず最初に〝I have no objection to〟ですが、こちらは「私は~に異議はない」という意味になります。

続いて〝such an inclusive though conventional description〟とありまして、こちらが「そのような包括的ではあるが型にもはまった表現」というような意味だと思います。

つまり、「「運命の車輪」という呼び方は、型にはまった表現ではあるものの『タロット』という物を上手く捉えていて、その表現に異存はないよ」というようなことを言っているのだと思います。

これは意訳の通り、若干見下しているような表現が含まれていると思います。

使われている単語も、言われてあまり気持ちの良いものではないと思いますしね。

次に〝it obtains in all the worlds〟ですが、こちらは「それは全ての世界に通用する」というような意味です。

最初は「全世界」だと思ったのですが、恐らく、これは地球上にある国々を指す世界ではなく、霊的なものも含めた全部を言っているのだと思い、敢えて「全ての世界に」としました。

そして〝and I wonder that it has not been adopted previously〟ですが、こちらが「そして、私はそれがこれまで採用されなかったことを不思議に思う」というような意味でしょうか。

なんか〝wonder〟って良いですよね。

続きまして〝as the most appropriate name on the side of common fortune-telling〟ですが、こちらが「一般的な占いの側において最も相応しい名前として」というような意味だと思います。

なんとなく見えてきた気がします。

一度、まとめてみましょう。

〝I have no objection to such an inclusive though conventional description; it obtains in all the worlds, and I wonder that it has not been adopted previously as the most appropriate name on the side of common fortune-telling.〟

→ 私はそのような包括的ではあるが型にもはまった表現に異議はなく、それは全ての世界に通用し、そして、私はそれがこれまで採用されなかったことを不思議に思う。

なるほど、なるほど。

先程もお伝えしましたが、§2の「運命の車輪」で語られている内容の真相は、当時の読者は知る由もありません。

どうしましょう?

先に意訳をお伝えした方が良いものか、それとも敢えて考える時間を設けて最後にお伝えした方が良いものか…うーん。

この一文自体は、そこまで複雑な内容ではないと思うのですが、今回はこのまま意訳(解説等含む)をお伝えしてしまいますね。

長くなります。

解説と考察(意訳)

ウェイトは、前回「Grand Orient(グランド・オリエント) という人物が書いた『占い本』は、役に立たないものばかり載っているけど、最新版で追加されたタロットの章だけは、なんだかまともなんだよね。そこではタロットの全部(0~21)を「運命の車輪」と見なしているみたいなんだよ(私の解釈があっていればの話だけどね)」というようなことを主張していました。

しかし、何を隠そうこの〝Grand Orient〟という名前は、ウェイトが若かりし頃に使っていた(あるいは大衆向けの本を書かざるを得ない時に使っていた)ペンネームであり、つまり、自分が別名義で出版した本を、あたかも他人の著作であるかのように批判しつつ、実は「タロットの章だけはまともなんだ」ということを言いたいがための、一人芝居をしているわけなのですよね(+最新版を売るための宣伝でもあるかと思います)。

伝わっていますかね…(心配)。

そして今回の一文では、「まぁ、ありきたりな名前ではあるけど、しっかり的を射ているんじゃない?それなのに、何故これまでその名前が採用されなかったのか、むしろ不思議なくらいだよ」というようなことを言っているわけなのです。

少し俗っぽい表現になってしまうかも知れませんが、まさしくこれが〝自作自演〟ですよね。

見事だと思います。

しかも、この一文。

内容自体はそこまで難しくはないですよね。非常にシンプルなものだと思います。

ですが(これまでの考察があっているという前提で話を進めますが)、実はかなり巧妙なんですよね。

文章にして伝えようとすると、かえってきっとわかりづらくなってしまうと思ったので、情報の整理も兼ねて、敢えて箇条書きにしてみます。(あくまで私の一方的な見え方です)。

驚くべき多重構造

  • あまり名が知られていない〝Grand Orient〟という著者を取り上げているように見せ、自分が外側から評価しているように見せている
    → まるでウェイトが権威ある人物かのように見える
  • 一方で、グランド・オリエントが唱えたとされる(ように見せている)「タロット全体=運命の車輪」という説は、しっかりと持ち上げ、強調している
  • しかし、実際は「ありきたり」という表現を用いていて、褒めているようで褒めていない
  • しかも、その「タロットの章」は、実際にはウェイト自身が最新版で追加した内容
  • ウェイトが取り上げることで、グランド・オリエント名義の本も売れる
    → 自分の過去作の宣伝も兼ねている
  • 過去、自分が生活のために書いたであろう「大して役にも立たない奇妙な寄せ集めの本」を、他人の著作として批判し(つまり自分の過去作との決着とも言える)、自分が今現在残したい「新たに追加されたタロットの章」だけは特別な位置付けにできる
  • 「異議はない」って、そもそも誰が反対していたの?
    → 自分が判断を下す側の人間であるように見せている=反論されにくくしているのでは?
  • そもそも『The Pictorial Key to the Tarot』も大衆向けの本だが、敢えて難しい単語を使い、結局のところ、狭き門にしている。
    → 「知りたい人だけ読んでね」というスタンス(これはもうウェイトの標準装備ではありますが)

上手く伝わりましたかね…(不安)。

もちろん、あっている保証はありませんが、私が「おや?」と思った点を全て挙げてみました。

試しに、複数のAIにも尋ねてみたところ、このような考察もありました。

AIによる考察

  • 「ありきたりな名前」と一度下げることで、「これは私の独創的な思いつきではなく、誰もが思いつくような普遍的な名前なんだよ」と、自分の説に「客観的な正当性」を持たせようとしています。
    → はっ、確かに!!しかも若干感じられるマウント感…と思いました。
  • 「なぜこれまで採用されなかったのか不思議だ」と言うことで、「これほど明白な名前を、私以外のこれまでの研究者は誰一人として見抜けなかったんだね」と、さりげなく自分の洞察力や特別さをアピールしています。
    → 「本当だーいつも通りのウェイトだー」と思いました。

いかがでしょう。

一見、何の変哲もない、極めてシンプルな一文ですが、これほど多くの仕掛け……いや、何と言いましょう。

様々な表情が見えるんですよね。

もちろん、私たちは今、インターネットを介して本当に多くの情報を何処までも引き出すことができます。
だからこそ見抜けることでもあるのですが…当時の読者がそれに気付くのは、まず不可能だったでしょう。

この一文は、ウェイトの癖がよく表れている一文だなと思いました。

それにしても、私は一体何をしているのでしょうか?

タロットの話はまだなのでしょうか。(笑)

いつの間にか、『ウェイト』の研究みたいになっている気がします……。

まぁいいか♪

先へ進んでみましょう。

二文目:副題が示す意味とは

二つ目の文章〝It is also the title of one of the Trumps Major—that indeed of our concern at the moment, as my subtitle shews.〟を見ていきます。

そこまでわからない単語が多くないので、補足が必要そうな箇所は都度解説を交えて進めます。

では早速、参りましょう。

まず〝It is also the title〟ですが、こちらは「それはまた~というタイトルでもある」というような意味です。

続いて〝of one of the Trumps Major〟ですが、こちらが「大アルカナの内の一枚の」という意味です。

いつもお伝えしていることになりますが、〝Trumps Major〟と記されている場合の「大アルカナ」は、ウェイト=スミスタロットの大アルカナは含めないと考えた方が良いと思っています。

100%あってるとは断言できませんが、今のところ、ウェイトが自身のタロットの大アルカナを指す場合は〝Greater〟と記述する、という見解です。

本書の、まだ本当に初めの方で一度しか出てきたことのない記述ではあるのですが、以後、まだウェイト=スミスタロットそのものの紹介は直接はしていませんし、これまでも、世の中にある(ウェイトが認めていないであろう)タロットに関しては〝it〟や〝card〟を用いる傾向があります。

その中でも、ウェイトなりの線引きのようなものがあるとも考えていて、「真のタロットとしては認めていないけど、でも敬意は払ってるよ(つまりそれまでのタロット=マルセイユタロットなどには)」というようなものに対しては、ここで言われている通り〝Trump〟と言ったり、〝Major〟と言ったりしているように見えます。

戻ります。

次に〝that indeed of our concern at the moment〟とありまして、こちらが「それはまさに、今私たちの関心のあること」というような意味です。

続く〝as my subtitle shews〟ですが、こちらが「私の副題が示している通りです」という意味でしょう。

〝shews〟というのは、ウェイトの文章あるあるで、〝show(s)〟の昔の綴りです。

恐らく、この〝of our concern at the moment〟=「今、我々の関心のあること」は、「運命の車輪」のことだと思います。

最初は『タロット』そのもののことを指しているのかと思ったのですが、〝moment〟とあるので、「今この瞬間!!」的なニュアンスがあることを思い出し、それで「今まさに関心のあること」=「運命の車輪」という考えになりました。

また、この「副題」というのは、§2に入ってから当記事でも毎回タイトルに挙げている、『TRUMPS MAJOR』のことを指しているようですね。

アーサー・エドワード・ウェイト著『The Pictorial Key to the Tarot』PART1の§2の冒頭。それぞれの大アルカナの歴史的解釈が綴られている。
副題まで訳したのが懐かしいですね(歓喜)

あれ?

〝TRUMPS MAJOR Otherwise, Greater Arcana〟=「トランプの切り札 またの名を大アルカナ」と記述がありますね。

意訳すると、「マルセイユタロット等の大アルカナ、またの名をウェイト=スミスタロットの大アルカナ」というようなことを言っているのですが、ここでの一文と何かしらの繋がりが見えますか?

ウェイトは「僕が副題で示しているじゃない?」というようなことを言っていたのですが……「はて?何を?」というのが正直なところ、個人的には何とも繋がらないのですが、みなさんには見えているのでしょうか……。

はて?(本当にわからない…汗)

いっ、一度まとめてみましょうかね。

〝It is also the title of one of the Trumps Major—that indeed of our concern at the moment, as my subtitle shews.〟

→ それはまた大アルカナの内の一つのタイトルでもあり――それはまさに、今(この瞬間)私たちの関心のあることであり、私の副題が示している通りである。

ひとまず、このような形になるかと思います。

それにしても、全然意味がわかりません。

この一文も表面的には何の変哲もない、前文同様、至ってシンプルな文章だと思います。

しかし先程の「ウェイトの中での線引きがあって、それによって呼び方を変えている」という私の推察があっているとするなら、副題は「そもそもそれまでの従来のタロット(つまり〝Trump〟)の大アルカナ(ゲーム的には「切り札」と呼ばれていました)があるけど、またの名をウェイト=スミスタロットの大アルカナと呼ぶ」というようなニュアンスになるので、〝同等〟というような解釈になりますよね(違うのかな…)。

私の名前を例にして――和泉まこと、またの名を『ハンジ・ゾエ』と言った場合、私という人間に対しての呼称が2つあるという意味になりますよね。

ですが、ウェイトが(認めているとは言え)それまでの大衆的なタロットの大アルカナと、自身の大アルカナを「一緒」のように扱うでしょうか……。

「ない、絶対ない、あり得ない、あのウェイトがそんなことを言うはずがない!!」

これは間違いないと言えるほど、間髪入れずに返ってきます、私の中の何かが。

明確な根拠はありませんが、でも「絶対あり得ない!!」ということは、みなさんにもご理解いただけるのではないかと思います。(笑)

では、一体ウェイトは何を伝えようとしているのでしょう?

いや、やはり「同じ」というようなことを言っているのかな……。

前回この副題を扱った際には、全く何も感じずスルーしてしまっていたのですが、絶対おかしいですよね。

ねっ。

あぁ~ウェイトに振り回される毎日~(ぐるぐる~)。

今は「ぱっ」とは出てこなさそうなので、一度まとめに入りますね。

それからまた「ああでもない、こうでもない」と、考察を深めていきたいと思います。

まとめ

改めて、今回の取り上げた文章をご紹介します。

I have no objection to such an inclusive though conventional description; it obtains in all the worlds, and I wonder that it has not been adopted previously as the most appropriate name on the side of common fortune-telling.
It is also the title of one of the Trumps Major—that indeed of our concern at the moment, as my sub-title shews.

Arthur Edward Waite
『The Pictorial Key to the Tarot』より

また、これまでの流れも把握できた方がわかりやすいと思うので、前回の結論もお伝えしておきます。

10、運命の車輪。
現在、イングランドで大変な人気を見せ世間を賑わせている、一冊の占いの手引書が存在するが、大して役にも立たない奇妙な寄せ集めをただ乱雑に並べたばかりのその中には、いくつかまともな内容も紛れ込んでいる。
その最新且つ最大級の版においては、タロットをある一つの章で扱っており、それを――もし私が著者を正しく解釈しているならば――タロットの最初から最後までを「運命の車輪」として見なしているのである(この表現は私自身の解釈によって理解される)。

そして、今回のこれまでの訳です(多少不自然でも、なるべく原文に手を加えずダイレクトに訳したものになります)。

→ 私はそのような包括的ではあるが型にもはまった表現に異議はなく、それは全ての世界に通用し、そして、私はそれがこれまで採用されなかったことを不思議に思う。

→ それはまた大アルカナの内の一つのタイトルでもあり――それはまさに、今(この瞬間)私たちの関心のあることであり、私の副題が示している通りである。

最後に、本文の内容をより忠実に整えた(当サイト比)訳がこちらです。

型にはまった表現ではあるが、私はそのような包括的な呼び方に異論はない。それはあらゆる世界に通用するものであり、何故これまで一般的な占いの場で採用されてこなかったのか不思議なほどである。
また、それは大アルカナ(従来の切り札)の一つのタイトルでもあり――それは、まさに今この瞬間、私たちが扱っている「運命の車輪」のことであり、私の副題が示している通りである。

はい、このような形に仕上げました。

内容に大きな差はありませんが、日本語としてはより自然に、わかりやすく整えられたのではないかと思います。

では、最後に少しだけ解説と、一人会議という名の考察を始めたいと思います。

もう少しだけ、お付き合いいただけましたら幸いです。

解説:今回の訳について

では、先に訳についての解説を少しさせてください。

〝conventional〟についてなのですが、ウェイトの言いたいこととしましては「型にはまった」「ありきたりな」だとは思うのですが、訳としては「習慣的」とした方が、ウェイトの表面的な「特に嫌味(あるいは批判や否定等)なんて言ってないよ」というのスタイルを反映できるかなと思い「習慣的」としました。

しかしながらご存知の通り、表面的にはそう見えないだけであって、ほぼ全部と言って良いくらい、その裏には嫌味ないし批判、あるいは否定的なメッセージが隠されています。

最近、最終的な訳を、本当に意訳寄りにしてお出しして良いものなのか、少し悩みます。

これまで、いくらかウェイトの文章を扱ってきた上で感じたことなのですが、ウェイトの文章って、

  • まず本人の文章(英文)があって
  • そこから、まずは直訳 → でも大体内容が掴めないことが多い
  • 意訳寄りにして初めて内容を理解しだしていく
  • でも、意訳寄りを最終訳とするとウェイトの訳そのものではなくなってしまうような…
  • でも、ウェイトの文章を直訳寄りに整えたくらいでは、恐らく多くの方に意味が伝わらないような…(もちろん全部を読んでくだされば、そんなことはないと思うのですが、そうでない方もいらっしゃると思うので)

という、変なループに苛まれます。

嫌な悩みではないのですが、まずは自分が理解できることが何より大事なのですが(すみません笑)、せっかく他人様にもお見せする前提でこのような形を取っているわけなので、少なからず見てくださっている方の気持ちを考えるのは当然で、でもウェイトの言いたいことを捻じ曲げてしまうことも本意ではないと言いますか…ぶつぶつ。

すみません、余談でした。

この件はまた、おいおい良い方向に導かれて行くと思いますので、何か変更等ありましても、温かく見守っていただけますと嬉しいです。

あっ、それとですね。

〝of our concern at the moment〟=「今まさに、私たちの関心のあること」についてなのですが、こちらは、このように訳されることがほとんどだと思うのですが、「それは辞書的には正しい」と言うAIが一人(一機?)いました。

「じゃぁ何だって言うんだ!?」と突っこんでみますと、実際の英語では「今取り上げている事柄」や「議題となっている対象」を指すことが多いと言うのです。

ですが、私にはその是非を判断する材料がありません。

ですので、このことを今度は別のAIに尋ねてみました。(笑)

すると、あるAIからは「そのAIの指摘は100%本当です」という回答がありました。

何でもAIの言うことを鵜呑みにして良いとは思っていませんが、とは言え、AIが私より英語に長けていることは間違いないと思います。(涙)

もちろん細かな説明等を聞いた上での判断ですが(それは割愛します)、この件に関しましては、「きっとそういういうことなんだろうな」と思います。

「興味の対象」としても間違いではないと思うのですが、今回のウェイトの文脈からしても「今扱っていること/取り上げていること(つまり「運命の車輪」のカード)」とした方が、それっぽい気がしました。

あまり信憑性のない根拠で申し訳ないのですが、一応そういった経緯があることをお伝えしておきたいと思います。

訳に関しては以上です。

考察:腑に落ちないウェイトの主張について

さて、ここからが真打『一人会議』の本番です。

まず、私が抱いた違和感を〝問題〟として、改めて整理したいと思います。

キング・オブ・プライドと言っても過言ではないウェイトが、まさか従来のタロットの大アルカナと、自身の大アルカナに「またの名を…(otherwise)」なんていう言葉を用いて、〝同等〟に扱うなんていうことがあるのか?

という一点です。

結論からお伝えしますと、答えは「NO」です。

きっと、誰しもがそう思ったに違いありません――

しかし、ここで必要になるのは〝根拠〟です。

できれば「AIがそう言っているから」というものではなく、私自身も納得できるようなものを探りたいです。

ということで、今一度、§2で使われている副題を調べ直してきました。

CLASS Ⅰ
§ 2
TRUMPS MAJOR
Otherwise, Greater Arcana

まさか今ここで、この副題に戻ってくるとは思ってもみませんでしたが、一番の原因は、私の早とちり…ですね。

自分で言うのも物凄く嫌ですけど。(笑)

ですが、実際に改めて調べてみますと〝otherwise〟の解釈が少し乏しかったと言わざるを得ません。

自分で言うのも嫌ですけど。(笑)

当時の解釈については(と言っても大した解説もなく、すぐに訳してしまっていたのですが…)、当時の記事を読んでいただければと思います。▶▶ こちら

§2の副題〝TRUMPS MAJOR Otherwise, Greater Arcana〟を「トランプの切り札 ~またの名を大アルカナ~」とするのは間違いではないのですが、これも先ほどの〝conventional〟同様、「辞書的には正しい」というような訳だったようです(くぅっ)。

つまり、この〝otherwise〟は、日本語的な「またの名を」を表していたわけではなかった、ということになります。

では、一体〝otherwise〟をどのように解釈するのが適切だったのか……。

辞書的な訳であれば「さもなければ、そうしないと、そうでなければ」と出てはくるのですが、実際に私の頭の中で当てはめてみても、結局は「またの名は(を)」というような訳に変換されてしまいます。

そこで、実際に文章として書き起こしてみようと思ったのです。

すると、まさかの気付きがありました。

「トランプの切り札 ~さもなければ(そうでなければ)大アルカナ~」

一見すると、またしても「またの名を」というように解釈される気もするのですが、個人的には、むしろ前のものを打ち消しているような気がしました。

はっ!!

これは、前のものを否定している文章なのか?

物凄く分かりづらい!!

しかし、そういういことなのか!?

私の、何らかの固定観念が見事に崩れ去っていった瞬間でした。

私は、「またの名を」という日本語的な訳が〝同等〟を表すものだと認識していたのですが、どうやら、むしろ〝線引き〟や〝区別〟といった形に近いようなのです。

日本的な〝otherwise〟ではなく、英語的な〝otherwise〟の使い方を改めて調べてみましたので、簡潔に整理したいと思います。

  • 条件の否定:そうでなければ/さもないと
    「もしそうしなかったら、悪い結果になるよ」というニュアンス
    例)Hurry up, otherwise you’ll be late.
    → 急いでください、さもなければ遅刻しますよ。
  • 別の方法で/違うやり方で
    「他のやり方で」「あべこべに」というニュアンス
    例)Try to see it otherwise.
    → 別の見方をしてみてください。
  • 他の点では/それ以外では
    「その点を除けば」「別の見方をすれば」というニュアンス
    例)The room is small, but otherwise comfortable.
    → 部屋は狭いが、それ以外は快適です。
  • 別名では/別の呼び方では
    特殊な用法(古風)、「別の呼び方をするなら(もし、そう呼ばないのであれば)」というニュアンス。
    例)I am Makoto, otherwise Hange.
    → 私はまこと、(もしそう呼ばないのであれば)またの名をハンジ。

完全に〝同等〟を表してはいませんね…。

また、④の「またの名を」という使い方は、特殊だったようですね。

「またの名を」としてしまうと、AとBが仲良く並んでいるようなイメージになりがち(実際私がそうでした)ですが、これらの用法をじっくり眺めてみますと、いずれも仲良く並んでいる感じではありませんよね。

それどころか、一方が否定されているかのような並びになっていることが伺えると思います。

私が、安易に「トランプの切り札」と訳して、それで良しとしてしまっていたのが良くなかったかも知れません。

つまり、それはあくまで〝表面的な意味〟なんですよね……。

してやられました。

もっと嫌な感じが込められている気がしてきました。

「私の副題が示してるでしょ?」なんていう言い方も、そもそも随分と見下したような言い方でしたもんね。

「トランプの切り札」ではないのかも知れない…。

いや、そうなんだけどそうじゃないと言いましょうか……。

つまりですね、あまり上手く言葉にできないかも知れませんが――

副題にある〝TRUMPS MAJOR〟が当時の従来のタロットを指していることは間違いないと思うのです。

その中でも、ウェイトには線引きのようなものがあるということをお伝えしましたが、恐らく〝TRUMPS MAJOR〟は、まったく認めていないカードの類よりは、少しは尊敬の念があると言いますか、そのような認識であっているのだと推測します。

ですが〝Greater Arcana〟は、言うまでもなく、ウェイト本人の崇高なる偉大な大アルカナを指しているに違いありませんから、この流れに沿うと〝TRUMPS MAJOR〟までもが否定の対象になっている、というような意味になると思います。

ですが、ここではその矛盾に見えるような考えも、一度そのまま受け入れてしまおうと思います。

すると、あくまでも「もっと酷いものよりは敬意は払っている」というだけで、もしかするとウェイトにとっては、自身のタロット以外は『タロット』ではない、と極端に捉えてしまっても良いのかも知れない、という考えも浮かび上がってきます。

また、細かい点ではありますが、一応〝TRUMPS MAJOR〟は、複数形になっているんですよね。

ウェイト=スミスタロットの大アルカナ(Greater)が複数形ではないので、それが、「ウェイト=スミスタロットの「運命の車輪」が、従来のタロット的なものの全大アルカナを表している」という言い分は、確かに反映されているとは思うのですが……何を見落としているのでしょう……ぶつぶつぶつぶつ。

  • 「運命の車輪」が従来のタロットの大アルカナ全体を表している
    → それはわかったし、むしろそういう設定に私も異論はない(笑)
  • 「私の副題が示しているでしょう?」
    → うん、確かに示しているかもだけど、だから何?

あっ、これだ。

恐らく、ここまでの流れで、なんとなくでも、ウェイトが「「運命の車輪」がタロットの大アルカナ全体を表している、と述べていたことが副題に反映されている」ということまでは、まぁまぁ理解できたとは思うのですが、「だから何なのかな?」ということなんですよね(伝わりますかね…)。

何と言うのでしょう…因果関係?とでも言いましょうか。

私がおかしいのかも知れませんが、「言っていることはわかった。でも、それが何なの?」という風になってしまい、「なるほど」となるようなこととは全く繋がらないんですね。

何度AIとやり取りを重ねても、正直なところ「あまり納得できない」という回答しか得られず、ここでのウェイトの言い分はかなり強引さがあるのかなと思いました(辻褄が合わないと言いますか)。

この先に答えがあるのでしょうか……。

ちょっと今すぐには、答えが見つからなさそうな気がするのと、私自身、あまり理解できていないのにこれ以上お伝えするのは違うなと思ったので、今回はこの辺で終わりにしたいと思います。

「あっ!こういうことだったのか!」と、また何かしら進展があった際には、追記したいと思います。

とは言え、先程の「ない、絶対ない、あり得ない、あのウェイトがそんなことを言うはずがない!!」という点につきましては、なんとか解決しましたよね!!(強引ですかね笑)

気付けば、またしてもカードの話はお預けでしたね。

「いつになったらカードの話になるんだ」と、何処からかお叱りの声が聞こえてきそうですが、また次回を楽しみにしていましょう。

では、また次回。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

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