『The Pictorial Key to the Tarot(§2 TRUMPS MAJOR)』翻訳・解読【奇術師】Vol.2

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こんにちは。

今回は、前回に続き、ウェイトによる当時のマルセイユタロット一覧表の「奇術師」の記述、後半部分を見ていきましょう。

前回の一文は、いつも通り遠回しな表現で、一般的な占い(fortune-telling)や解釈と、自身の愛する神秘主義による知識や秘義、またそれを基にして作られたタロットを比較、対比するような内容でした。

また、当時の格差社会におけるコンプレックスのようなものも感じ取れる一文でした。

これまでにも様々な表現を用いていますが、一見、当時のマルセイユタロットを説明しているのかと思いきや、まさかの出だしから「安っぽい解釈」とそれまでにあった一般的な解釈を一蹴。依然として、fortune-telling的な占いや、それに付随する解釈に対しては否定的です。同様に、自身の愛するタロットや神秘主義における知識を挙げ比較するという姿勢も一貫しています。

まだ開始から20ページ程の序盤なのですが、本命のウェイト=スミスタロットの紹介に行き着くまでずっとこの調子なのでしょうか……。

では、よろしくお願いいたします。

今回の一文:真なる光を求めて

今回の一文です。

I should add that many independent students of the subject, following their own lights, have produced individual sequences of meaning in respect of the Trumps Major, and their lights are sometimes suggestive, but they are not the true lights.

Arthur Edward Waite
『The Pictorial Key to the Tarot』より

こちらを2つに分けます。

【前半】
I should add that many independent students of the subject, following their own lights, have produced individual sequences of meaning in respect of the Trumps Major

【後半】
and their lights are sometimes suggestive, but they are not the true lights

では、参りましょう。

前半

前半は〝I should add that many independent students of the subject, following their own lights, have produced individual sequences of meaning in respect of the Trumps Major〟です。

いつも通り、単語の整理から始めていきます。

add → 追加、付け加える、添える
independent → 独立した、自主的な
following → ~に従って、~の後で
individual → 個人、個々の
sequences → 順序、順番、連なり

※ここでは代表的なものを挙げています。

また、久しぶりに「~に関して」を表す〝in respect of〟が出てきましたので、改めて「~に関して」の一覧表も置いておきます。

表現意味・ニュアンス使われる場面
about最も一般的な「〜について」。ややカジュアルな印象日常会話
カジュアルなビジネス
concerning「〜に関して」。やや硬く、問題・懸念など深刻な話題にも報道・公的文章
説明文など
regarding「〜に関して」。現代的で自然なフォーマル表現ビジネス文書
公式な連絡・案内
as regards「〜に関して言えば」。やや格式あり、全体の話題導入に使われる書き言葉
論文や哲学的な語り
with reference to「〜に関して言えば」。やや古風で格式があり、構文重視の語りや文語的な導入に使われる書き言葉
古典的な論考・構造的な語り
as to「〜について言えば」。特定の要素に焦点をあてる補足的表現公式文書
説明文中の要素補足
in respect of「〜に関して」。契約・法律文書で使われる最も格式の高い表現契約書
法律関連文書

表の通り、「~に関して」という意味を表す単語(熟語)の中でも最もフォーマルな言い方になります。

それをマルセイユタロットの「奇術師」の部分で発するとは……。一体何が語られるというのでしょうか。

では、順番に訳していきましょう。

まず〝I should add that〟ですが、こちらは「私は付け加えるべきだ」という意味です。

次に〝many independent students of the subject〟とありまして、こちらが「この主題の多くの独立した学び手たちが」という感じでしょうか。

ここでの〝student〟は学生を表すようなものではなく、恐らくは「タロットを独学で勉強した者」というようなことを言いたいのだと思います。

続いて〝following their own lights〟とありますが、こちら直訳しますと「彼ら自身の光に従って」という意味になりますが、この「光」というのは「彼らの解釈」とか「彼らが『これだ!』と思うもの」というようなことを表していると思います。

よって、「彼ら自身の正解に従って」というような意味になると思います。

それから〝have produced individual sequences of meaning〟とありまして、こちらが「個別の意味の連なりを生み出してきた」というような意味だと思います。

〝have produced〟が現在完了形なので、「過去から現在に至るまで作り上げられてきた」というようなニュアンスだと思います。

そして、最後に〝in respect of the Trumps Major〟ですが、こちらが「大アルカナに関して」という意味ですが、正直「え?ここで〝in respect of〟を使うの?」と思ってしまいました。

ですが少なからず、これまでのウェイトの文章を細部にわたって見落としがないか目を光らせてきた一人として、個人的な意見を言わせてもらうと、これは、ウェイトがカードゲームとしてのマルセイユタロットの大アルカナ(『切り札』という意味の方の)に敬意を表しているかのようにも見えます。

私、ウェイトのこういうところが好きなんですよね。ちゃんと歴史を重んじると言いますか、それまでの成り立ちを軽んじないと言いますか、決してそういうところを無視しないと言いますか。

一度まとめてみましょう。

〝I should add that many independent students of the subject, following their own lights, have produced individual sequences of meaning in respect of the Trumps Major〟

→ 私は付け加えるべきだ、この主題の多くの研究者たちが彼ら自身の光に従って、大アルカナに関して個別の意味の連なりを生み出してきた

このような感じでしょうか。

いつも通り、まずはダイレクトな訳にしましたが、なんとなく言いたいことは伝わってきますよね。

このまま、後半へ進めていきましょう。

後半

では、後半です。

後半は〝and their lights are sometimes suggestive, but they are not the true lights〟です。

〝suggestive〟しかわからない単語がなかったので、このまま進めていきます。

まずは〝and their lights are sometimes suggestive〟ですが、こちらは「そして、彼らの光は時に示唆的である」というような意味です。

この〝suggestive〟には「思わせぶり/示唆的な/暗示的な」というような意味があり、あまり良い意味で使われてはいないと思います。

そして〝but they are not the true lights〟とありまして、こちらが「しかし、それは真の光ではない」という意味になります。

『また』と言うのもなんですが、要は違う言い方ではあるけど、これまでの解釈をまた別の形で否定している、ということですかね。

では、まとめます。

〝and their lights are sometimes suggestive, but they are not the true lights〟

→ そして、彼らの光は時に示唆的である、しかしそれは真の光ではない

このような感じになるかと思います。

今回は、割とすっと入ってくる内容で良かったと思います。(笑)

少し物足りない気もしますが、『まとめ』に入ります。

まとめ|結論・解説・考察

改めて、今回の一文をご紹介しておきます。

I should add that many independent students of the subject, following their own lights, have produced individual sequences of meaning in respect of the Trumps Major, and their lights are sometimes suggestive, but they are not the true lights.

Arthur Edward Waite
『The Pictorial Key to the Tarot』より

また、これまでの流れも把握できた方がわかりやすいと思うので、再度、前回の結論をお伝えしておきます。

1、魔術師、手品師、あるいは大道芸人、低俗な誤魔化しの世界に属する賭博師、そしていかさま師。
これは通俗的な解釈であり、それが本来の象徴的な意味を持つという関係性は、占いにタロットを用いることが秘教的象徴学に基づく神秘的な構造を持つという関係性と同じである。

そして、今回のこれまでの訳です(多少不自然でも、なるべく原文に手を加えずダイレクトに訳したものになります)。

→ 私は付け加えるべきだ、この主題の多くの研究者たちが彼ら自身の光に従って、大アルカナに関して個別の意味の連なりを生み出してきた

→ そして、彼らの光は時に示唆的である、しかしそれは真の光ではない

最後に、本文の内容をより忠実に整えた(当サイト比)訳がこちらです。

このことについて、多くの学び手たちが独自の解釈に則り、『切り札』に関する個々の体系を生み出してきたということは付け加えておくべきだろう。そして、それらは時に示唆的ではあるが、それが真の理解ではないということも。

いかがでしょう?

このような形に整えました。

久しぶりに「できた!」感があります。

今回は、改めてお伝えするようなことがあまりないのですが、一応補足としてお伝えしたいことがあります。

宜しければ、ぜひ最後までお付き合いください。

解説・考察

今回の一文、要点を挙げるとするならば…

  • 多くの人たち(神秘主義ではない人)が、個々に勝手に独自の体系を作り上げてきた

私は〝individual sequences of meaning〟を「体系」と訳しましたが、恐らくウェイトは、「体系」とするのも嫌だったのか、だから敢えて「意味の個々の序列」というような言い方をしているのだと思います。しかし、私個人としましては、そこには何の感情も湧かないので〝わかりやすい〟を優先しました。ですが、本質的には「個々がそれぞれ勝手に作ったもの」というようなことを表したいのかなと思いました。

また、私は「学び手」としましたが、それもウェイトの狙いだと思います。敢えてそれらしい言葉を使わず、〝student(s)〟と呼ぶのは、少し棘のある言い方と言いますか、もはや見下しているまであるかなと思います。だからと言って、それをまず第一に学生を思わすような「生徒」とするのもちょっと違う気がしますし、逆に「研究者」と持ち上げ過ぎるのもウェイトの意向を無視しているようだなと感じたので、それで「学び手」としました。

  • 彼らの解釈は時に示唆的だが、それは真の光(正解)ではない

これも「時に」を言い換えるなら、「たまに」とか「稀に」とも捉えられますよね。そして「示唆的」というのも、元の単語は〝suggestive〟と「思わせぶり」というようなことを意味する語なわけですが、恐らくウェイトのことですから、そこまでストレートに「思わせぶり」とは言っていないだろうと思います。ということで「示唆的」としましたが、結局はこれも、ウェイトも嫌う占いに寄せて言うなら、「一見は願いが叶う方向に導かれている、というように見えるのかも知れないが、それは真の正解ではない」、つまり「それは間違っている」ということですよね。

そう、つまりは「間違っている」ということを、また別の形で表現しているだけなんですよね。

補足は以上になります。

いかがでしたでしょうか。

あと一文で「奇術師」の部分は終わるのですが、進めなくもなかったのですが、次に突入してしまうとまた膨大な量になってしまうので、今回はこの一文で終わりにしたいと思います。

私は、今回の一文を読んで、改めて「コミュニケーションって難しいなぁ…」と思って読み進めていました。

みなさんにも、何か伝わるものがあれば幸いです。

では最後まで見てくださり、ありがとうございました。

また次回。

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