『The Pictorial Key to the Tarot(§2 TRUMPS MAJOR)』翻訳・解読【戦車】Vol.2

この記事は約 23 分で読めます。

『The Pictorial Key to the Tarot(§2 TRUMP MAJOR)』翻訳・解読【戦車】のアイキャッチ画像。

こんにちは。

『タロットの世界』へお越しくださり、ありがとうございます。

今回は前回に続き、マルセイユタロット大アルカナ7番「戦車」の解説【後半】になります。

とは言え、前回もこれまでも、「これ」と言って当時のマルセイユタロットの紹介はほとんどなされていないのが現状です。

むしろマルセイユタロットについて触れられていると、「おっ!やっとか!」と思ってしまうほどです。

この『タロットの世界』は、私のノート的な役割も果たしていますので、基本的にリアルタイムで進行且つ記事を書き連ねています。

つまり、今回も何が語られるのか、現時点では私にもわからないのです。

前回は、マルセイユタロットと、ウェイト=スミスタロット両方の「戦車」の描写について触れられていましたが、内容についてはまだ然程語られていません。

ですでの、後半の文章には少しだけ期待をしてしまうのですが、真相はいかに!?

では、本題に入りましょう。

前回の記事はこちら

『The Pictorial Key to the Tarot(§2 TRUMPS MAJOR)』日本語訳|マルセイユタロット【戦車】Vol.1 | タロットの世界

18世紀のマルセイユタロットでは白馬が戦車に繋がれ、後のタロットでは二匹のスフィンクスが。「戦車」のカードに描かれる象徴の変遷を辿ります。

今回の文章:「戦車」の象徴

後半は残り四つ、どれも適度な長さがあるので、一文ずつ見ていきます。

As regards its usual name, the lesser stands for the greater; it is really the King in his triumph, typifying, however, the victory which creates kingship as its natural consequence and not the vested royalty of the fourth card.

M. Court de Gebelin said that it was Osiris Triumphing, the conquering sun in spring-time having vanquished the obstacles of winter.

We know now that Osiris rising from the dead is not represented by such obvious symbolism.

Other animals than horses have also been used to draw the currus triumphalis, as, for example, a lion and a leopard.

※原文にある改行時に用いられるハイフン(-)は省略しています。

Arthur Edward Waite
『The Pictorial Key to the Tarot』より

今回も見慣れない単語がちょこちょこ見られるので、上手く訳せるか不安ですが頑張ります!!

また今回は量が多いため、最後にまとめて解説をするとわかりにくくなってしまうと思うので、必要と感じたら都度解説を交えます。

では、よろしくお願いいたします。

一文目:「戦車」カードが象徴する勝利とは

では、後半一文目は〝As regards its usual name, the lesser stands for the greater; it is really the King in his triumph, typifying, however, the victory which creates kingship as its natural consequence and not the vested royalty of the fourth card.〟です。

いつも通り、単語から見ていきましょう。

usual name → 通常の名称
stands for → ~を象徴する、~を意味する
triumph → 勝利、成功
typifying → 象徴する
kingship → 王の身分、王権、王位
consequence → 結果
vested royalty → 既得の王権

※ここでは代表的なものを挙げています。

意味を知っても、日本語としてもあまり使わない単語が多い気がしますね。

では、参りましょう。

まず〝As regards its usual name〟ですが、こちらは「その通常の名前に関しては」という意味ですね。

「~に関して(As regards)」という単語の中でも、法律に関連する書類なんかに使う、かなり硬く格式の高い表現ですが、何が語られるというのでしょう?

次に〝the lesser stands for the greater〟ですが、こちらは「小さいものが大きいものを表している」という意味です。

思えば「~を表す/象徴する」というような単語も、これまでにいくらか扱ってきた気がするのですが、何故かこちらに関してはまとめようとしたことがありませんでした(最近まで気付いていませんでした)。

「さすがにもういっか♪」という気持ちなので、こちらについては、今後も新しい単語のように扱っていくと思います(つまり、あまり覚えていられないということです…よろしくお願いいたします笑)。

続いて〝it is really the King in his triumph〟ですが、こちらが「それは実際には勝利した王です」というような意味です。

以前『マルセイユタロット徹底解剖』という記事を書いた時に、タロットが元々カードゲームとして作られたものだったという歴史について触れたことがありました。

その際、〝トリオンフィ(Trionfi/伊)〟というゲームで遊ばれていたことを知ったのですが、こちらも同じく「勝利」を意味します。

特に深い意味はないのですが、イタリア語でも英語でも「似ているんだな~」と思いお伝えしたくなりました。

戻ります。

それから、少しややこしいのですが、〝typifying, however, the victory which creates kingship as its natural consequence〟とありまして、こちらが「ただし、(「戦車」のカードが)象徴しているのは――その勝利に対しそれの当然の結果としての王権を生み出し…」というような意味です。

単語一つでカンマを打たれると、文法的なものはリセットされるのかと思っていたのですが、そういうことでもないんですね。このフレーズ、とても難しかったです。

日本語としてわかりにくいとは思うのですが、まずは文の構造に近い形にしました。

最後に〝and not the vested royalty of the fourth card〟とありますが、こちらが「そして、それは第四のカードの既得の王権ではない」という意味になります。

訳はあっていると思うのですが、いまいち何を言いたいのだかわかりません…。

一度まとめてみましょう。

〝As regards its usual name, the lesser stands for the greater; it is really the King in his triumph, typifying, however, the victory which creates kingship as its natural consequence and not the vested royalty of the fourth card.〟

その通常の名前に関しては、小さいものが大きいものを表します。それは実際には勝利した王である、だがしかし、(「戦車」のカードが)象徴しているのは――その勝利に対しそれの当然の結果としての王権を生み出し、そして、それは第四のカードの既得の王権ではない。

まずは、不自然でも直訳寄りにしていますが、少しここで紐解いてしまいます。

「その通常の名前」というのは「戦車」のカードのことですよね。

「通常の名前」という以外の「戦車」があるのかな?とも思ったのですが、「通常は戦車という名前の」というような解釈で良さそうでした。

そして、その「戦車」を「小さいもの」とし、王権的なものを「大きいもの」としているのだと思います。

「戦車」とは名乗っているけど、実際には王が勝利し続けた姿を描いているというようなことなのだと思います(そうだったんですね)。

つまり、例えば三代続いた皇帝の三代目は、最初から王権を持っていることになりますよね。一方、ここで言われている王権は、積み重なった勝利の上に築いた王権というような感じなのではないでしょうか。

それが「小さいものが大きいものを表す」ということになるのかなと思いました。

それと「第四のカード」というのは、大アルカナ4番「皇帝」のカードのことだと思います。

最初はどちらの「戦車」について語られているのかわからなかったのですが、恐らく語り口からして、ウェイト=スミスタロットの「戦車」のことを言っているかと思います。

では、次へ進みます。

二文目:コート・ド・ジェブランによる「戦車」の解釈

二つ目は〝M. Court de Gebelin said that it was Osiris Triumphing, the conquering sun in spring-time having vanquished the obstacles of winter.〟です。

まずは、単語等のチェックから行っていきましょう。

M. → 氏(仏語の敬称:ムッシュ)
triumphing → 勝利している、勝利する
conquering → 征服している、打ち勝つ、克服する
in spring-time → 春の時期に
having vanquished → 打ち破った、克服した
the obstacles of winter → 冬の障害

※ここでは代表的なものを挙げています。

英語では、同じような意味の単語を重ねることで、響きやニュアンスを生み出し、強調する効果があるそうです。

日本語では「強く、逞しく」とか「頭痛が痛い」とか?、そうした表現が近いかなと思います。

では、まず〝M. Court de Gebelin said that〟ですが、こちらは「コート・ド・ジェブラン氏は~と述べた」という意味です。

次に〝it was Osiris Triumphing〟とありまして、こちらが「それは勝利するオシリス」という意味です。

〝Osiris〟に触れていませんでしたが、オシリスはエジプト神話の神様です。

「恋人」のカードを扱った際には〝キューピッド〟について取り上げましたが、ゲームやファンタジーの世界にはよく登場する存在なので、つい当たり前に知られているものだと勘違いしてしまいました。

オシリスは〝冥界の王〟とされていますが、私自身、改めて「オシリスって何?」と聞かれると、「ん?えーと…」とそもそもの神話などについてはまったく知らないなと思いました。

私も興味がありますので、もし余力があれば最後に少し触れたいなと思います。

ただし、オシリスはとても有名なので、詳しく知りたい方は動画などで確認していただく方が早いかも知れません。詳しい方にはどうかわかりませんが、「とりあえずでも楽しく知りたい!」という方には、中田敦彦さんのYouTube大学で見られる『エジプト神話①』をおすすめします。

話を戻しますが、ここに来て突如、コート・ド・ジェブランの名前が出てくるのですね…。

続いて〝the conquering sun in spring-time〟とありますが、こちらが「春の時期に勝利する太陽」という意味です。

そして、最後が〝having vanquished the obstacles of winter〟ですが、こちらが「冬の障害を打ち破った」というような意味です。

日本語的には、「乗り越えた」という表現の方が合っている気がしますが、章の最初の方でもお伝えしましたように、わざと同じような意味の単語を用いて表現を強調しているという狙いがあると思ったので、ここは「打ち破った」の方が合っているかと思います。

では、まとめてみましょう。

〝M. Court de Gebelin said that it was Osiris Triumphing, the conquering sun in spring-time having vanquished the obstacles of winter.〟

→ コート・ド・ジェブラン氏は、それは勝利するオシリスであり、春の時期に冬の障害を打ち破った征服の太陽だと述べた。

このような感じでしょうか。

内容はわかりますね。

今の段階では、オシリスにまつわる神話がわからないので何とも言い難いのですが、ひとまず次の文章へ進んでみたいと思います。

三文目:表面的にはわからない〝オシリスの復活〟

三文目は〝We know now that Osiris rising from the dead is not represented by such obvious symbolism.〟です。

「オブヴィアス」と読む〝obvious(明白な、はっきりした)〟だけわかりませんでしたが、確認しましたので、このまま進めていきたいと思います。

では、まず最初の〝We know now that〟ですが、こちらは「私たちは今~ということを知っている」という意味です。

次に〝Osiris rising from the dead〟ですが、こちらが「オシリスが死から蘇る」というような意味です。

本来〝rising〟に「蘇る」「復活する」というような意味はありません。ですが、直訳ですと「死から立ち上がる」という意味になりますので、「蘇る」という解釈でも妥当かと考えました。

そして〝is not represented〟とありまして、こちらが「表されていない」とか「描かれていない」というような意味です。

最後に〝 by such obvious symbolism〟ですが、こちらは「そのような明白な象徴によって」というような意味でしょう。

〝We know now that Osiris rising from the dead is not represented by such obvious symbolism.〟

→ 私たちは今では、オシリスが死から蘇るということは、そのような明白な象徴によって表されていないということを知っています。

日本語としては少し不自然ですが、つまり「戦車」のカードを見ただけでは〝オシリスの復活〟が描かれているということはわからない、というようなことを言っているのだと思います。

〝オシリスの復活〟とは言いましたが、これは物語のタイトルなどではないですからね。

エジプト神話の起源は約5000年前にまで遡り、元からタイトルや全集といったものがあったわけではないようです。

今日知られているタイトルのような呼び方は、断片的に残されていた神話や文献を組み合わせ、後の人々によって付けられたものだと考えられています。

では、最後の文章を見ていきたいと思います。

四文目:馬以外に戦車を牽いたとされる動物たち

最後の文章は〝Other animals than horses have also been used to draw the currus triumphalis, as, for example, a lion and a leopard.〟です。

わからない単語が〝currus triumphalis〟だけだったので、このまま訳を進めていきます。

まずは〝Other animals than horses〟ですが、こちらは「馬以外の他の動物」という意味です。

次に〝have also been used〟ですが、こちらが「~もまた使われてきた」というような意味です。

続いて〝 to draw the currus triumphalis〟ですが、こちらは「勝利の戦車を牽くために」というような意味でしょう。

この〝currus triumphalis(勝利の戦車)〟はラテン語で、他の言語の専門用語を引用する際、英語の文献ではイタリック体(斜め)にすることが多いそうです。

前半は「クルルス」と読むそうなのですが、後半は揺れがあるようです(トゥリウンファリス/トゥリウンファーリスなど)。

currus triumphalis〟自体は、特別な造語というわけではありませんが、凱旋式などで将軍が乗る特別な戦車を指すそうです。つまり、ウェイト的には〝特別な戦車〟を指し示す言葉として使っている可能性が高いと思います。

個人的には、今までウェイト=スミスタロットの「戦車」はあまり戦車だとは思っておらず、石の乗り物のようなものと、それ以上のことを考えようとしたことがありませんでした。

ウェイト=スミスタロット「戦車」のカード
ウェイト=スミスタロット:「戦車」

みなさんにはどのように映るのでしょうか。

最後に〝as, for example, a lion and a leopard〟とありまして、こちらが「例えば、ライオンや豹のように」という意味です。

この〝as〟は「~として」ではなく「~のように」となるそうで、例として挙げる際の補足的な役割になるそうです。

では、一度まとめます。

〝Other animals than horses have also been used to draw the currus triumphalis, as, for example, a lion and a leopard.〟

→ 馬以外の他の動物もまた、勝利の戦車を牽くために使われてきました、例えばライオンや豹である。

今回は、そのままでも内容が伝わるものが多いですね。

さて、では最後に一つにまとめ、仕上げに取り掛かっていきましょう。

まとめ

改めて、今回の扱った文章をご紹介します。

As regards its usual name, the lesser stands for the greater; it is really the King in his triumph, typifying, however, the victory which creates kingship as its natural consequence and not the vested royalty of the fourth card.

M. Court de Gebelin said that it was Osiris Triumphing, the conquering sun in spring-time having vanquished the obstacles of winter.

We know now that Osiris rising from the dead is not represented by such obvious symbolism.

Other animals than horses have also been used to draw the currus triumphalis, as, for example, a lion and a leopard.

Arthur Edward Waite
『The Pictorial Key to the Tarot』より

そして、今回のこれまでの訳です(多少不自然でも、なるべく原文に手を加えずダイレクトに訳したものになります)。

→ その通常の名前に関しては、小さいものが大きいものを表します。それは実際には勝利した王である、だがしかし、(「戦車」のカードが)象徴しているのは――その勝利に対しそれの当然の結果としての王権を生み出し、そして、それは第四のカードの既得の王権ではない。

→ コート・ド・ジェブラン氏は、それは勝利するオシリスであり、春の時期に冬の障害を打ち破った征服の太陽だと述べた。

→ 私たちは今では、オシリスが死から蘇るということは、そのような明白な象徴によって表されていないということを知っています。

→ 馬以外の他の動物もまた、勝利の戦車を牽くために使われてきました、例えばライオンや豹である。

最後に、本文の内容をより忠実に整えた(当サイト比)訳がこちらです。細字のものは前回の、太字のものが今回の訳になります。

7、戦車
これは、いくつかの現存する写本の中では、二匹のスフィンクスに牽かれるものとして描かれており、その意匠は象徴性と調和しているが、それが元来の姿であったと考えるべきではない。このバリエーションは特定の歴史的な仮説を裏付けるために考案されたものである。
18世紀には、白い馬が戦車に繋がれていました。
その通常の名称に関して言えば、小なるものが大なるものを表している。それは実際には勝利した王であるが、とは言え(「戦車」のカードが)象徴しているのは、王権を自然な結果として生み出す勝利であり、それは第四のカードに見られる既得の王権ではない。
コート・ド・ジェブラン氏は、これを〝勝利するオシリス〟であり、すなわち春を征服する太陽が冬の障害を打ち破る姿だと述べた。
今日、死から蘇るオシリスを、そのような明白な象徴によって表現されていないということを我々は知っている。
また、例えばライオンや豹、馬以外の他の動物も〝currus triumphalis(勝利の戦車)〟を牽くために用いられてきた。

このような形に整えました。

少し分量が多めで大変でしたが、内容自体はそこまで難しいものではなかったように思います。

ただし結果的に、またここでもマルセイユタロットの「戦車」について語られた感じはあまりありませんでしたね。前回の「白い馬」だけでした。

また、これまで文の終わりを「~です」とせず「~だ」というような言い方をするのが、強めの口調に感じ個人的に少し抵抗があったのですが、一覧にされた説明文の訳だったということを思い出して、今回は割と淡々した調子で整えてみました。

では、ここからは前回のものと合わせて簡単に解説と考察を加え、更には、エジプト神話のオシリスについても少し触れて終わりにしたいと思います。

解説・考察

ここでは、前回と今回の「戦車」の説明文を合わせた中で、いくつか私が疑問に思った点についてお話しさせてください。簡潔に考察(答え)も添えていきます。

コート・ド・ジェブランのタロットの描写はどういうものだったのか

コート・ド・ジェブランは自身でタロットを制作していたわけではないようです。
では何故、コート・ド・ジェブランの解釈というものが存在するのか?ということになると思うのですが、コート・ド・ジェブランは当時流通していたマルセイユタロットに解釈を付け加えていたとのことでした。
コート・ド・ジェブランが自身の解釈をまとめた『原始世界』という書物があるのですが、こちらは1781年に出版されたもので、当サイトで扱ったマルセイユタロットはどれも年代的に該当してしまい、誰の版かは特定できませんでした。

「戦車」のカードにスフィンクスが取り入れられたのはいつ頃なのか

私も代表的な人物のタロットしか調べていませんが、恐らく、最初にスフィンクスを取り入れたのはEliphas Levi(エリファス・レヴィ)ではないかと考えられます。すると、何故ウェイトはここでもエリファス・レヴィの名前は伏せていたのか?という疑問が浮上すると思うのですが、これまでの経緯を考えますと、ウェイトがエリファス・レヴィのデザインを真似している可能性が高いことから敢えて名前を挙げなかったのだと思います。

こちらの16ページでエリファス・レヴィの「戦車」が確認できます(こちらはウェイトが英訳した?『高等魔術の教理と儀式(1854-56)』なのですが、何故か日本語で表示されます)。

・Internet Archive
 ∟ 『Dogme et Rituel de la Haute Magie(1854-56)

〝勝利するオシリス〟と「冬の障害を打ち破る春を征服する太陽」

調べてみますと、コート・ド・ジェブランは、そもそも「戦車」のカードのことを「勝ち誇るオシリス(Osiris Triumphing)」と名付けていたそうです。
「勝利するオシリス」と普通に訳してしまいましたが、ウェイトがそう言ったのはそういうことだったのですね。
片や神話での出来事と、片や季節の変化を、同じ〝勝利〟として例に挙げたのだと思います。

実際にライオンや豹である「戦車」は存在するのか

むしろ現代にはそうしたタロットも存在するかも知れませんが、タロット史における代表的なタロットにはそのような描写のタロットは確認できませんでした。
また、当サイトではまだほとんど登場したことありませんが、Aleister Crowley(アレイスター・クロウリー)という、ウェイトと同時期の有名なオカルティストが作った『トートタロット』でも、「戦車」にはスフィンクスのような動物が4匹並んでいました。ただし、トートタロットはウェイト=スミスタロットよりも更に30年程後のものです。
この一文は本当にただの例えだったのかも知れません。

白い馬

本文でウェイトは「白い馬」と述べていましたが、代表的な(当サイトでも取り上げている)マルセイユタロットはどれも二頭の白い馬を牽いています。ジャン・ノブレ版だけ白と薄茶のような馬でした。
ちなみに、現存する最古のタロット、カーリー・イェール版のヴィスコンティタロットの「戦車」も白い馬が二頭でした。

ヴィスコンティタロット(カーリー・イェール版)の戦車
ヴィスコンティタロット:「戦車」
カーリー・イェール版

ジャン・ノブレ版は正統派のマルセイユタロットの中でも最も古くからあるものです。つまり、ジャン・ノブレ版以外は白い馬二頭が基本だったとも言い換えることができると思います。
そう考えますと、突如スフィンクスを取り入れたエリファス・レヴィってやっぱりすごいなと思ってしまいます(エリファス・レヴィもタロットを制作したわけではなく図として自身の書物に提示していただけです)。

以上、解説と考察でした。

神話における〝オシリス〟

古代エジプトには、オシリスだけを中心とした長編物語は存在していません。オシリスにまつわる物語は、葬送文書や儀礼の断片として散在し、当時の人々はそれらを通してオシリスを理解していたとされています。

後に、ギリシャの哲学者プルタルコスが、こうした断片を集め、連続した一つの物語として再構成しました。

今日私たちが知るオシリスにまつわる神話の多くは、このプルタルコスによって再編集されたものがほとんどだそうです。ここでご紹介する内容はそれに基づいたものになります(よろしくお願いいたします)。

今日伝えられる神話のオシリス

昔、エジプトの地に偉大な王オシリスがいました。彼は人々に農耕を教え、秩序をもたらし、豊かな国を築きました。妻イシスは賢く慈愛に満ち、二人は民から深く敬われていました。

しかし、弟セトはその栄光を妬みました。ある日、セトは巧妙な罠を仕掛けます。彼は美しい棺を用意し、「この棺にぴったり収まる者に贈ろう」と言いました。オシリスが試しに入ると、セトは蓋を閉じて釘を打ち、棺をナイル川へ流してしまったのです。

夫を失ったイシスは悲嘆に暮れながらも諦めず、エジプト中を旅して散らされたオシリスの遺体を探し集めました。そして魔術と愛の力によって彼を一時的に蘇らせます。

イシスにより復活するオシリスのをイメージした画像

しかしそれは完全な復活ではなく、オシリスは冥界へと移り、死者の王として君臨することになりました。その後、イシスとの間に子ホルスが授けられます。

やがてホルスは成長し、父の仇であるセトに挑みます。二人の戦いは長く続き、神々の裁定も交えながら激しく争われました。

最終的にホルスが勝利し、正統な王位を継ぎます。こうして秩序は回復され、オシリスは冥界の王、ホルスは地上の王として、それぞれの役割を担うことになったのです。

オシリスにまつわる神話を3~4種類ほど確認したのですが、基本的にはこのような解釈で差し支えないと思います。

これが、本当にウェイト=スミスタロットの「戦車」に反映されているかは今のところはまだわかりませんが、なんとなく興味を持ったのでまとめてみました。

何かしら参考になりましたら幸いです。

今回は以上となります。

次回は「力」のカードになりますが…本来なら、マルセイユタロットの大アルカナ8番目のカードは「正義」なんですね。

なので、なんだかんだ言って、結局はウェイト=スミスタロットを基準にしているような気もします。

この§2は「当時のトランプの紹介」という言い方(記述)をしていたので、てっきりマルセイユタロットのことだと思っていたのですが…そうとも言えるのですが、そうとも言えないという、なんとも煮え切らない感じが続いています。

まっ、ですが前進あるのみです。

では、最後まで見てくださりありがとうございました。

また次回。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA