『The Pictorial Key to the Tarot(§2 TRUMPS MAJOR)』翻訳・解読【運命の車輪】Vol.1

この記事は約 27 分で読めます。

『The Pictorial Key to the Tarot(§2 TRUMP MAJOR)』翻訳・解読【運命の車輪】のアイキャッチ画像。

こんにちは。

『タロットの世界』へようこそ。

いつもご覧いただき、ありがとうございます。

今回から、「運命の車輪」になります。

マルセイユタロット(ニコラ・コンヴェル版/グリモー版)の「運命の車輪」のカード
マルセイユタロット:「運命の車輪」
(ニコラ・コンヴェル版/グリモー版)

不思議な絵ですよね。

猿?
いや、犬?
いや、人間…なのかな?

何だかよくわからない生き物が輪っかの部分にひっ付いているのか、それとも輪を回しているのか。
ちょっと何とも言えない不思議な描写ですよね。

「ようやく新しいカードだ!」と心機一転したいところなのですが、「運命の車輪」も 1 ページでは収まらない内容になっており(例えば「女帝」は僅か6行程でした)、こちらも数回に分ける必要がありそうです。

毎度のようにお伝えしていますが、この§2で語られる内容は、表向きは「マルセイユタロットの解説」を思わせる発言(記述)がされていますが、実際には、当時のマルセイユタロットの解釈を否定、批判しつつ、ウェイト自身の解釈、あるいはウェイト自身のタロットの解説をしていると言って差し支えないと思います。

今回も1ページを超える内容ですので、恐らくウェイトにとって「運命の車輪」は少し思い入れのあるカードなのかも知れません。

つまり、少し複雑な内容かも知れないということです…。

頑張って紐解いていきたいと思います。

また「隠者」を扱っている際に、「全部の「隠者」が終わったら、「隠者」だけをまとめても良いかも!?」と言った記憶があるのですが、今はまだまとめるのは早いと思いました。

要点だけを抜き取っても、容易に理解できるものではないと身を以って体感しています。
確かに興味を持ってもらう入り口みたいなものとしては良いのかも知れませんが、限られたエネルギーを今そのことに使うなら、私はこのまま訳を進めたいと感じるのです。

このサイトを設立した当初、確か何処かで「まとめるのが得意ではない」というようなこともお伝えしていたことを思い出しました。

ということで、早速始めたいと思います。

よろしくお願いいたします。

前回の記事はこちら

『The Pictorial Key to the Tarot(§2 TRUMPS MAJOR)』日本語訳|マルセイユタロット【隠者】Vol.10 | タロットの世界

§2「隠者」最終回。習慣化された概念を刷新しようとするウェイトの一文を翻訳。軽い解説も交えながら丁寧に読み解きます。

今回の文章:ウェイトが示す「運命の車輪」――通俗的な占いから神聖なものへ

今回扱う文章です。

Ⅰ0.The Wheel of Fortune.

There is a current Manual of Cartomancy which has obtained a considerable vogue in England, and amidst a great scattermeal of curious things to no purpose has intersected a few serious subjects.

In its last and largest edition it treats in one section of the Tarot; which—if I interpret the author rightly—it regards from beginning to end as the Wheel of Fortune, this expression being understood in my own sense.

※原文にある改行時に用いられるハイフン(-)は省略しています。

Arthur Edward Waite
『The Pictorial Key to the Tarot』より

最初のカード名の部分は良いとして、残り二つを一文ずつ見ていきます。

少し長いので、温かいお茶でも淹れて、休憩のついでなんかにでも、気軽に読んでいただけたら嬉しいです。

それでは、参りましょう。

一文目:当時イギリスで大人気だった占いの本

一つ目は〝Ⅰ0.The Wheel of Fortune.〟と〝There is a current Manual of Cartomancy which has obtained a considerable vogue in England, and amidst a great scattermeal of curious things to no purpose has intersected a few serious subjects.〟です。

再確認したい単語もあったので、多くなってしまいました(ご容赦ください)。

wheel → 車輪
current → 現在の/今の、現在流行している
Manual → 手引き書、指南書
Cartomancy → (タロットを含む)カード占い
obtain(ed) → 得る/獲得する
considerable → かなりの、相当な
to no purpose → 無駄に、役に立たない、無意味に
amidst → ~の中に、~に囲まれて
scattermeal → ばらばらに、断片の散乱、雑多な寄せ集め
curious → 奇妙な、珍妙な、好奇心をそそる
intersect(ed) → 交差する(ここでは混ざっているというニュアンス)

※比較的、一般的なものを挙げています。

段々と〝それが普通〟になってきてしまいましたが、やや癖のある単語が多い気がします。

また都度、解説を交えながら進めたいと思います。

では、まず初めに〝Ⅰ0.The Wheel of Fortune.〟ですが、こちらは「10、運命の車輪」という意味です。

ところで、タイヤとホイールの違いはご存知でしょうか。

タイヤはゴムの部分で、ホイールはそのタイヤを支える金属部分のことなのですね。

細かい点ではありますが、「車輪」と聞いても、タイヤと一緒くたにされてしまいそうな気がしたので、念のため、お伝えしたくなりました。

ですが、タロットにおける「ホイール」は、車のホイールのような金属部分を指すのではなく、「輪っかが回転(循環)するもの」というようなことを象徴しているのだと思います。

ちなみに、私はまだ一度も「運命の車輪」のカードについて調べたことがありません。

落書き程度に、カードに描かれている絵を真似して描いたことはあるのですが、特に巷で言われている意味さえ知りません。

これから知っていくので楽しみです。

すみません、話が脱線してしまいました(戻ります)。

次に〝There is a current Manual of Cartomancy〟ですが、こちらは「現在(1910年頃)流行している『カード占いの手引書』がある」というような意味です。

Manual of Cartomancy〟は、普通に訳すと「(カード)占いの手引き書」という意味になるのですが、イタリック体での記述のため、何かのタイトルないし、引用かと思われます。

続いて〝which has obtained a considerable vogue in England〟ですが、こちらは「(それは)イギリスでかなりの人気を得ている」という意味です。

そして〝and amidst a great scattermeal of curious things to no purpose〟とありまして、こちらが「そして、役に立たない奇妙な事柄が酷く雑多に散らばった中で」というような意味でしょうか。

かなり癖が強めですね。

少し奇妙な日本語になっていますが、本来あってもなくても然程意味は変わらないであろう〝great〟を、敢えて訳しているからです。

文そのものも若干の奇妙さがありますが、一般的に「雑多」と言っている時点で既に良い状態(状況)ではないはずなので、そこに更に〝great〟を用いていることから、よほど強調したかったのだろうと考えます。

また、この〝scattermeal〟という単語は、〝scatter(散らす)+meal(粒、断片)〟から成るものですが、現代英語ではほぼ使われない単語だそうです。

最後に〝has intersected a few serious subjects〟ですが、こちらは「いくつかの真面目な話題も混ざっている」というような意味だと思います。

「役に立たないものの中に混ざっている真面目な話題」ということですが、つまり「まともな話」というような解釈で良いかと思います。

では、一度まとめてみましょう。

〝Ⅰ0.The Wheel of Fortune.〟

〝There is a current Manual of Cartomancy which has obtained a considerable vogue in England, and amidst a great scattermeal of curious things to no purpose has intersected a few serious subjects.〟

10、運命の車輪

イギリスでかなりの人気を得ている、現在流行しているカード占いの手引書があり、そして、役に立たない奇妙な事柄が酷く雑多に散らばった中で、いくつかの真面目な話題が混ざっている。

久しぶりに、程良く不自然な訳になりました。

ですが、まったく内容がわからないということでもありませんよね。

いつも、このくらいだと良いのですが……ぼそっ(小声)。

さて、この一文。

いろいろと調べているうちに、「おっ!?」という発見がありました。

すぐにお伝えしたいところなのですが、最後にまとめた方が良いと判断しました。宜しければ、ぜひ最後までお付き合いください。

非常に「ウェイトらしいな…」と感じられる一文でした。

では、次の文章も見ていきましょう。

二文目:タロット全体を「運命の車輪」として見なすウェイトの真意とは

二つ目の文章は〝In its last and largest edition it treats in one section of the Tarot; which—if I interpret the author rightly—it regards from beginning to end as the Wheel of Fortune, this expression being understood in my own sense.〟です。

また、例によって単語等のチェックから始めます。

last → 最新の(〝版〟としての)
edition → 版、改訂版
treat(s) → 取り扱う、論じる
section → 章、区分
interpret → 解釈する
author→ 著者、筆者
regard → ~と見なす、~として扱う
from beginning to end → 最初から最後まで、終始
expression → 表現、言い回し

※ここでは代表的なものを挙げています。

もはや、ここ最近出てきた単語もすぐ忘れてしまいます。

特に似た意味を持つ単語は、何回も聞かないと(見ないと)なかなか覚えられません。(泣)

では、参りましょう。

まず〝In its last and largest edition〟ですが、こちらは、「その最新かつ最大級の版において」というような意味です。

前文の『Manual of Cartomancy』は、やはり『カード占いの手引書』という名の本のようですね。

次に〝it treats in one section of the Tarot〟とありまして、こちらが「(それは)タロットを一つの章で扱っている」というような意味だと思います。

続いて〝which—if I interpret the author rightly〟ですが、こちらが「(それは)もし、私が著者を正しく解釈するなら」という意味です。

つまり、ウェイトが『Manual of Cartomancy』の著者を正しく理解しているなら、という意味だと思うのですが、どんなことが語られているのでしょう。

それから〝it regards from beginning to end as the Wheel of Fortune〟とありまして、こちらが「それは(タロットを)最初から最後まで「運命の車輪」として見なしている」というような意味になるようです。

この一節の訳し方がよくわからかったのですが、〝regard A as B〟とある場合、「AをBと見なす(評価する、扱う)」となる決まりがあるそうです。

しかし、この一節には〝A〟に当たるものの記述がされていません(実際には省略されている形だそうなのですが、そんなのわかりません…泣)。

そこで〝A〟に当たるものを探さないといけないのですが、この一文では、直前の〝it treats in one section of the Tarot〟の〝the Tarot〟の部分が〝A〟になるとのことでした(結論だけですみません)。

最後に〝this expression being understood in my own sense〟ですが、こちらが「この表現は私自身の意味において理解されます」というような意味になります。

ただし、この一節は、日本語的には、括弧()のような役割を果たす一節になっているようです。

つまり、「それは(タロットの)最初から最後までを「運命の車輪」として見なしている(けれど、それは私自身の解釈によるものだけどね)」というようなニュアンスです。

今回の一文は、珍しく内容ではなく文そのものが難しかったです。特に後半。

大学入試や英検やTOIECなんかでもめったに拝むことのできない〝独立分詞構文〟というレアな文法が使われていたそうですよ。

ウェイトが学術的な文体に寄せたいたことは以前からわかっていたのですが、今回は今までで一番難しかったかも知れません。なんだか急に難易度が上がったと言いますか、本当に唐突でした。

内容そのものは、まるでごく普通の会話のようなことを言っているのですが、何故か書き方だけがやたら滅多に難しいという……。

何とは言いませんが――こういうところが〝ウェイトらしい〟ですよね。

では、一度まとめてみましょう。

〝In its last and largest edition it treats in one section of the Tarot; which—if I interpret the author rightly—it regards from beginning to end as the Wheel of Fortune, this expression being understood in my own sense.〟

→ その最新且つ最大級の版においては、それは(=著作)タロットを一つの章で扱っており、それを――もし、私が著者を正しく解釈するなら――それは(=著作)タロットを最初から最後まで「運命の車輪」として見なしている(この表現は私自身の意味において理解されています)。

このような感じでしょうか。

繰り返しになりますが、途中(特に後半)、どう並べることが、まず基本の文法に忠実なのかとても苦労しましたが、なんとか直訳に寄せられたと思います。

一山越えた気分です♪

では、まとめに入りましょう。

どちらの文も良い感じに整えていきたいと思います。

また、今回のまとめの内容も濃くなる気がしてきました。

お話ししたいことが多いです……。(笑)

まとめ

改めて、今回の取り上げた文章をご紹介します。

Ⅰ0.The Wheel of Fortune.
There is a current Manual of Cartomancy which has obtained a considerable vogue in England, and amidst a great scattermeal of curious things to no purpose has intersected a few serious subjects.
In its last and largest edition it treats in one section of the Tarot; which—if I interpret the author rightly—it regards from beginning to end as the Wheel of Fortune, this expression being understood in my own sense.

Arthur Edward Waite
『The Pictorial Key to the Tarot』より

また、これまでの流れも把握していただいた方がより理解しやすいとは思うのですが、一つ前の「隠者」は全3ページ、全10回に渡る膨大な量でした。

そのため、前回の結論だけを抜き出すのは適切ではないと感じましたので、割愛させていただきます。

毎度、本当に魂を込めて書いているので、もしまだご覧いただけていないようでしたら、ぜひ「隠者」の記事も見ていただけたら嬉しいです。個人的にもとても楽しい箇所でした。

§2の「隠者」を最初から読む

『The Pictorial Key to the Tarot(§2 TRUMPS MAJOR)』翻訳・解読【隠者】Vol.1

『The Pictorial Key to the Tarot』§2より「隠者」の冒頭を丁寧に解説・翻訳し、エリファス・レヴィやコート・ド・ジェブランの呼称との関連や様々な象徴を考察します。

そして、今回のこれまでの訳です(多少不自然でも、なるべく原文に手を加えずダイレクトに訳したものになります)。

→ 10、運命の車輪。

→ イギリスでかなりの人気を得ている、現在流行しているカード占いの手引書があり、そして、役に立たない奇妙な事柄が酷く雑多に散らばった中で、いくつかの真面目な話題が混ざっている。

→ その最新且つ最大級の版においては、それは(=著作)タロットを一つの章で扱っており、それを――もし、私が著者を正しく解釈するなら――それは(=著作)タロットを最初から最後まで「運命の車輪」として見なしている(この表現は私自身の意味において理解されています)。

最後に、本文の内容をより忠実に整えた(当サイト比)訳がこちらです。

10、運命の車輪。
現在、イングランドで大変な人気を見せ世間を賑わせている、一冊の占いの手引書が存在するが、大して役にも立たない奇妙な寄せ集めをただ乱雑に並べたばかりのその中には、いくつかまともな内容も紛れ込んでいる。
その最新且つ最大級の版においては、タロットをある一つの章で扱っており、それを――もし私が著者を正しく解釈しているならば――タロットの最初から最後までを「運命の車輪」として見なしているのである(この表現は私自身の解釈によって理解される)。

わぁ~!!(拍手)

できました~!!

いかがでしょう。

少し意訳寄りになりますが、本文の内容や文法的なものはそのままで、でも、かなりウェイトっぽく仕上げられたのではないかと思います。

では、お待ちかね(え?待ってない?笑)、解説と考察の方へ移りたいと思います。

ぜひ、お茶のおかわりをご用意くださいね^^

解説・考察

では、まず最初に、今回の文章の訳を進める際に「ん?」と思った点を簡潔に挙げていきたいと思います。

  • 一度は「イギリス」と訳したけど、本文は〝England〟って書いてあるな…あれ?本当はイギリスって〝グレートブリテン及び北アイルランド〟とか、なんとかじゃなかったっけ?
  • Manual of Cartomancy』っていう本は本当にあったのかな?
  • というか、それを読んだの?ウェイトが?え?いや、読んでるっぽいな(笑)
  • え?タロット全体が「運命の車輪」ってどういうこと?

この四点が、特に気になる点でした。

きっと、同じように思われた方もいらっしゃるのではないかと思うのですが、これから、これらを一つずつ紐解いていきたいと思います。

先にお伝えしますが、現時点では④についてはわからなかったので③までの考察になります。

〝イギリス〟と呼ばれている国について改めて知る

物凄く細かい点かも知れませんが、私は最初、ウェイトが〝England〟と言っているものを、当然「イギリス」だと思い込んでしまいました。

しかし、最終的な訳を考えている際、ふと「あれ?イギリスって違う呼び方があったような…」と、遠い昔の記憶が蘇ってきました。

そうなんです。

日本では「イギリス」「イギリス」と、まるでイギリスを一つの国であるように呼んでいる印象がありますが、これは日本に限った話で、日本以外ではまずそんなことはないだろうと考えました。

つまり、ウェイトが言う〝England〟は、我々が言う「イギリス」ではないだろうと考えたのです。

同時に、「なら、イングランドって何処を指すんだ?」と、そのようなことも思いました。

よって、まずは我々が普段当たり前のように呼んでいる〝イギリス〟ではなく、世界を基準とした呼称を整理してみました。

日本世界意味
イギリスUK / Britain四つの国から成る国家全体
イングランドEngland連合王国の一つ
グレートブリテンGreat Britainイングランド、スコットランド、ウェールズの三つの国から成る島の名前
英国Britain(文脈にもよる)一般的にはUKを指すことが多い

せっかくなので〝UK=グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(いわゆる日本的な〝イギリス〟)〟の地図も添えておきます。

やはり「イギリス」という呼び方をしているのは日本だけのようで(もちろん他国にも、その国独自の呼び方がある国はあります)、Googleマップでも〝UK〟と入力しなくては本来のイギリス(UK)の範囲を囲ってくれませんでした。

私は、〝連合国家〟というものがいまいちよくわからなかったのですが(と言うか考えたことがなかった…)、日本は独立国家であり、私たちで言うところの〝イギリス〟は四つの国(イングランド/スコットランド/ウェールズ/北アイルランド)から成り立っている国家、ということだったのですね。

私は、〝国家〟と〝国〟がそもそも別の概念だということも今初めて知りました。

日本は日本だけで一つの国であり、一つの国家ですが、我々が言うところの〝イギリス〟は、国家は一つだけど、国が四つということなんですね。

なんか面倒くさいですね……ぼそっ。(小声)

どうでもいいことではありますが、もう何年も前から、この国は「世界」「世界」というようなことを言いながら、何故未だにこのような初歩的なことが改められないのでしょう(不思議です)。

では、小難しい話はこの辺りにして、これらを踏まえて本題に戻りたいと思います。

ご存知、アメリカで生まれながらも、幼い頃にイギリスに移り住んだと言われているウェイトですが、今回の文章にある〝England〟は、やはり私たちが呼ぶイギリスではなく、本当に〝England〟という一つの国そのものを指していると思われます。

ですので、日本語的に言うのであれば「イギリスではない」ということになります。

少しややこしいかも知れませんが、そういうことですね。

Googleマップでも〝イングランド〟と入力しても、〝イギリス〟が国名であるように表示されてしまいますが、正しくは先程の表の通り〝England〟は、我々が言うところの〝イギリス〟に含まれる四つの国のうちの一つということになります。

今度は〝イングランド〟の位置を表示させた地図を添えておきますね。

もし、ウェイトが言ったことを日本に置き換えてみますと、「今日本で爆発的な人気を得て大流行している占いの手引書があるんだよー」ということになりますよね。

ですので、これは個人的には、かなり大きく出たなぁと感じています。

今から100年以上も前の話ですよ?

現代の「人気」や「流行っている」とは、規模が違うはずです。

イングランドは日本の三分の一ほどの国ですが、だからと言って、その隅々を知る由もありません。

ウェイト自身が雑誌の編集者だったり、自身の著作も多く執筆しているため、それなりに、出版社や出版関係者との繋がりはあったと思います。

ですが、現代のようなネット環境があるわけではありません。

恐らくは、身近なところでしかデータというデータは集められなかったはずだと考えられます。

よって、ウェイトが言う「人気」や「流行っている」は、せいぜい身近な範囲で感じられる雰囲気的なものでしかなかったのではないかと感じます。ですから、「イングランドでは」と言うのは、さすがにちょっと言い過ぎかなぁと思いました。

しかし、1910年頃のロンドンは、世界の出版やオカルトの中心地だったそうです。

ウェイトは、幼い頃からほぼ一生をロンドンで過ごしていたそうなので、もしかすると、首都であるロンドンで流行っていたのなら=イングランド全域でも流行っていたと考えた可能性はあるかも知れません。

これまで何度も「ウェイトのプロフィールでも作ろうかな」と思うものの、なかなか手が付けられません(なんか良いアイデアが思い付かないんですよね)。

§2が終わった頃に取り掛かりましょうかね。

では、これらを踏まえて次の疑問点の考察に移りたいと思います。

『Manual of Cartomancy』という本は本当に存在していたのか

ここでは、疑問点(②と③)を同時に見ていきたいと思います。

結論からお伝えしちゃいますが、もしかしたら薄々勘付かれていた方もいらっしゃるかも知れません。

そうです。

Manual of Cartomancy』っていう本は本当にあったのかな?
というか、それを読んだの?ウェイトが?え?いや、読んでるっぽいな(笑)

実はこれ、ウェイトが書いた本である可能性が高いのです。

えーーーーー!?(笑)

ということで、少し調べてみました。

ここからは、その前提で整理したものをお伝えしますね。

基本情報

『Manual of Cartomancy』の概要です。

正式タイトル:A Manual of Cartomancy and Occult Divination

著者:Grand Orient(ウェイトの昔の筆名です)

出版社(初版):George Redway(ジョージ・レッドウェイ)

内容:トランプ占い、手相、夢占い、数秘術、水晶占い、魔術的アルファベット、人間の宿命の神託…など

まさに、ウェイト自身が言っている通り、本当に「大して役にも立たない奇妙な寄せ集め」だったのでしょう。

後半は私にもよくわかりませんが(ひとまず書かれていた通りに訳しました)、奇妙かなとは思います。

初版は1889年、ウェイトが30代前半の頃でした。

その後、版を重ね、1909年(『The Pictorial Key to the Tarot』が出版される一年前ですね)には、大幅にページ数を増やした増補改訂版が出版されたようです。

同じようなタイトルで『A Manual of Cartomancy, Fortune-Telling and Occult Divination』というものが見つかりましたが、こちらがウェイトが言う「最新且つ最大級の版」=第四版だと思われます(以後、第四版と呼びます)。

「ウェイトが読んでいるの?」どころか、ウェイト本人が書いたものだったのです。

〝本を出版する〟という仕組みについて、私は詳しくありませんが、これだけ長い間出版を重ねているわけですから、本当に相当な人気だったのかも知れませんね。

タロットの章が追加された「最新且つ最大級」の第四版

本文にもありましたように、例の「新たに組み込まれたタロットの章」というのが、まさにこの第四版でした。

ちなみに第四版は、現在のAmazonでは高評価が付いていました(2026年1月現在)。

内容を見れば一目瞭然ですが、第四版に追加されたタロットの章がなければ、恐らくそのどれもが、ウェイトにとっては存在すら認めたくないようなジャンルばかりだったのではないかと感じられます。

もしかすると――生きるためには、書きたくないようなことでも書かなくてはならなかった――というような時期もあったのかも知れません。

とは言え、これまでのウェイトの主張を思うと、やや一貫性には欠けるかなとは思います。(先日の『超越的な正義』にはあまりにも則ってれいないような…いや、むしろ則れているのか?逆の意味で…ぶつぶつ)。

偶然か?それとも…

そんなことはさて置き、もしこの考察があっているとするなら、ウェイトが過去に書いた自身の本をぼろくそに言いたくなる気持ちはわからなくはないかも知れません。

しかし、そんなところに興味深い情報が舞い込んできました。

敢えて記載していたのですが、初版は George Redway(ジョージ・レッドウェイ)という出版社から出版されていたのにも関わらず、第四版になると、なんと出版社が William Rider & Son(ウィリアム・ライダー社)に変わっていたのですね。

「まさか!?」

ぴんと来る方もいらっしゃるかも知れません。

そうです。

当サイトで今現在扱っている『The Pictorial Key to the Tarot』や、巷で〝ライダー版〟と呼ばれている『ウェイト=スミスタロット』と同じ出版社ということになります。

本を売る仕組みや、小難しいことはわかりませんが、このことを知った瞬間、すぐに「大人の事情…かな?」という声が降ってきました。(笑)

良いですか?

1909年までの『占い本』は、タロットには一切触れていない、言わば「大して役にも立たない奇妙な占いの寄せ集め」です。

しかし、「最新且つ最大版」としてリニューアルされた『占い本』を調べますと、そのページ数から、いかにウェイトがタロットに本気だったかがわかります。

その数なんと250ページ!!

初版が250ページほどに対し、第四版は500ページを超えるそうです。

わかりやす過ぎますよね。

その上、僅か一年後の1910年には『The Pictorial Key to the Tarot』を出版……あっ、ごめんなさい。間違えました。

この『The Pictorial Key to the Tarot』自体も改訂版のようなものだったことを忘れていました。

いや、ですが、より時系列的なタイミングがおかしい(良過ぎる)ことが明らかになったかも知れません。

そう、この『The Pictorial Key to the Tarot』も改訂版で、そもそもの『The Key to the Tarot』も、1909年に出版されたものなんですよね…。

おかしいですよね。

そんなことあります?

ちなみにもっと突っ込んでいきますと、第四版は1909年の秋頃、『The Key to the Tarot』は1909年12月に出版されています。

つまり、第四版を出してから僅か数ヶ月後には、自分の本を、また別の自分の本の中で、タロット以外の部分を指してけちょんけちょんに否定しているのですよね。

いかがでしょう。

ちょっと出来過ぎではないでしょうか。

みなさんにはどう感じられるかはわかりませんが、私は「そういうことなんだろうなぁ…」と思ってしまいました。

ウェイトは本当に無名だったのか?

私はこれまで、当時のウェイトは「あまり有名ではなく、社会的にも成功していない」というようなイメージでした。

ですが、これまでの内容を踏まえますと、「え?絶対知名度も人気もあったっぽくない?」と思ったのですが、いかがでしょう。

もしかすると、以前 Éliphas Lévi(エリファス・レヴィ)が登場した際に調べた何かを見て、それを私が勘違いして認識してしまっていたのかも知れません。

また、なんとなくこれまでの文章からも、貴族や富裕層に対しての批判的な態度が感じ取られていたので、そこから「ウェイトは貧乏だからお金持ちが羨ましかったのかもな」というイメージになってしまっていたかも知れません。(ですが、これも間違いではないと感じています)。

改めて調べてみますと、「一般大衆にはほぼ無名だったが、オカルト界では確実に名の通った人物だった」という印象を受けました。

出版社にとっても売れる見込みがなければ、(良く言えば)先程のような〝戦略〟も成立しませんものね。

Grand Orient という筆名

ウェイトが何処まで先のことを考えて動いていたかは定かでありませんが、もしかすると、大衆向けの書きたくもないようなものを書かなくてはならない時(つまり生活のため)に、本名を使いたくなかったというのは自然な反応なのかも知れません。

恐らく、当時 Grand Orient が、Arthur Edward Waite(アーサー・エドワード・ウェイト)本人だということを知られることはほぼなかったはずですが。

だからこそ、自分の理想や思想を汚すと言っても過言ではないような過去の作品に対し、何食わぬ顔をして、決着のようなものを付けたかったのかも知れませんね(ちょっと良く言い過ぎかしら…)。

あるいは、知られることがないからこそ、先程の〝戦略〟を取ることも可能だったでは?と思います。

この〝Grand Orient〟というペンネームの由来も諸説あるのですが、これはまたの機会にします。

以上、疑問点(②と③)についてでした。

先程もお伝えしましたように、④の「え?タロット全体が「運命の車輪」ってどいういうこと?」については、現時点ではあまり明確な答えが得られませんでした。

全くないということでもないのですが、まだ§2の「運命の車輪」の途中ですし、いずれまた本編である「運命の車輪」の解説もありますから、それを楽しみに今後も進めていければなと思いました。

少し歯切れが悪いかも知れませんが、今回はここまでにしたいと思います。

…出だしから、マルセイユタロットの「運命の車輪」には一切触れられていませんでしたね。(笑)

考察が長くなってしまったので、最後にもう一度最終訳をお伝えしようか迷ったのですが、もし気になる方は〝こちら〟をクリックしてください。最終訳まで戻れます。▶▶ こちら

では、最後まで見てくださりありがとうございました。

また次回、お楽しみに。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA